十二人の怒れる男 (映画)

映画『十二人の怒れる男』の詳細

『十二人の怒れる男』は、シドニー・ルメットが監督を務め、1957年に公開されたアメリカの法廷ドラマであり、サスペンスの名作として広く知られています。この映画は、1954年にCBSで放送された同名のテレビドラマが原作となっており、その脚本もレジナルド・ローズが手掛けています。映画の主な舞台はニューヨークの郡裁判所であり、18歳の少年が父親を殺したとの疑いをかけられています。もし陪審員が有罪と評決した場合、少年は死刑判決を受ける可能性があるため、陪審員たちの判断は極めて重要です。

プロットの概要

ある夏の日、裁判官から陪審員に対しての説明が行われた後、12人の男たちは狭い陪審室で評決の審議を始めます。検察側は有罪を示す証拠を提出しますが、陪審員の8番、建築家役のヘンリー・フォンダは、彼が唯一無罪と主張します。彼は有罪にするには合理的な疑いが残るとし、他の陪審員たちにその脆弱性を指摘します。

この議論は、他の陪審員たちとの間で熱を帯び、自分の意見を貫く8番は、最終的には他の仲間に譲ることになります。彼の提案で秘密投票が行われ、その結果、1人の陪審員が無罪に変える意思を示したことで、話し合いは進展します。その後、各証言を基に真実を探ろうとする彼らは、着々と議論を重ね、押し寄せる疑念と反発の中で心理的な対決を繰り広げていきます。

キャラクター

映画に登場する陪審員たちは、それぞれ異なるバックグラウンドを持ち、性格や意見も多様です。中学校の体育教師である陪審員1番、冷静な株式仲介人の4番、粗暴な経営者の3番などのキャラクターは、議論の中で対立と協力を繰り返しながら物語を盛り上げます。特に3番は、自身の家庭問題に基づいて少年を有罪にしようとすることで、物語に深みを加えます。

製作背景と評価

この作品は、簡素なセットで短期間に撮影された実績から、制作費は約35万ドルと非常に低予算でした。それにもかかわらず、作品は1957年度ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされるなど、大きな評価を受けました。公開初期には興行的成功を収めることは難しかったものの、後のテレビ放映やリバイバルによりその評価が広まることとなりました。

現代における評価

今日、映画『十二人の怒れる男』は、法廷ドラマやサスペンスの金字塔として広く知られ、多くの批評家や観客から高い評価を受けています。特に、ロジャー・イーバートはこの映画を「偉大な映画」の一つと称賛し、現代においてもその重要性は色褪せていません。『Rotten Tomatoes』の批評コンセンサスでも、高い支持を受けており、映画のクオリティが時を超えて評価されていることを示しています。

この映画は、単なるエンターテインメントにとどまらず、陪審制度の重要性、正義の意味、そして人間の心理を深く掘り下げる作品でもあり、今後も多くの人々に観られ続けることでしょう。

もう一度検索