評決

映画『評決』の概要とストーリー

『評決』は1982年に公開されたアメリカの映画で、監督シドニー・ルメット、主演にポール・ニューマンが名を連ねています。本作は、医療過誤をテーマにした法廷ドラマとして非常に高く評価されており、原作はバリー・リードによる同名の小説です。

原作と制作の背景

バリー・リードはボストンを拠点とした著名な弁護士であり、実際に見聞した医療過誤訴訟を基に小説を執筆しました。この映画制作の初期段階では、アーサー・ヒラーが監督を務め、ロバート・レッドフォードが主演する予定でしたが、創作上の意見不一致からプロジェクトは頓挫しました。その結果、シドニー・ルメットが監督に選ばれ、ポール・ニューマンが主演に起用されることとなりました。

映画の公開と評価

1982年12月8日、映画は全米で公開され、興行的にも批評的にも成功を収めました。ポール・ニューマンの演技は特に称賛されており、彼はこの役柄を、「自分の長いキャリアの中で初めてポール・ニューマン以外の人物を演じた」と述べました。この作品は、アカデミー賞で作品賞を含む5部門にノミネートされましたが、最終的に『ガンジー』に敗れ受賞には至りませんでした。

映画のテーマと物語

本作はカトリック教会が設立した病院での医療過誤を扱っており、一部は教会や医療関係者への批判と受け取られることもありました。そのため、ニューマンはテーマについて「一人の人間の贖罪」であると語り、否定的な見解に反論しています。

物語では、工作が見つからないアルコール依存症の弁護士フランク・ギャルヴィンが描かれます。彼は他者の葬儀に顔を出し、遺族に名刺を渡して回るという惨めな営業活動を行っています。ある晩、ギャルヴィンはローラという女性と親密な関係になるが、先輩弁護士からの依頼で医療過誤に関する訴訟を担当することになる。

この訴訟は、出産入院中の主婦が麻酔ミスにより植物状態に陥った事件で、病院は穏便に済ませたいと考えています。病院側は巨額の和解金を提示し、判事もその方向に誘導しようとしますが、ギャルヴィンは病院側の思惑を見抜き、裁判に挑むことを決意します。

病室で無残な姿の主婦を目にした彼は、怒りと憤りを抱え、示談を断ります。ギャルヴィンは自身の再起を懸け、法廷での闘争を選ぶのですが、強力な弁護団がその前に立ちはだかります。ギャルヴィンは、数々の困難に直面しながらも真実を追い求め、闘う姿が描かれています。

キャストと吹替版

ポール・ニューマンの演技を支えるキャストには、初回放送での日本語吹替として広瀬正志や幹本雄之が参加しています。また、映画は1985年に『月曜ロードショー』で放送され、その後もカット部分を追加する形で再放送が行われました。

まとめ

『評決』は、単なる法廷ドラマを超えた深いテーマを持ち、登場人物の内面的な葛藤や成長を描き出しています。ニューマンの演技力と、映画の持つメッセージによって、観客に強い印象を与える一作となっています。

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