十六試特殊輸送機

十六試特殊輸送機 (MXY5) の概要

十六試特殊輸送機（じゅうろくしとくしゅゆそうき）は、大日本帝国海軍が試作した軍用の輸送用滑空機であり、一般に「特殊輸送機」とも呼ばれています。この機体は1941年8月に海軍航空技術廠によって空挺作戦用の大型輸送滑空機の開発が命じられ、その設計は技師の山本晴之が主導しました。機体の製造作業は、日本飛行機によって行われ、1942年2月には試作機が完成しました。

試作機は霞ヶ浦や木更津で多様な試験を受け、その結果、良好な性能を示しました。しかし、当時の空挺部隊は主に落下傘を使用していたため、この機体が実際に戦場で使用されることはありませんでした。最終的に、1945年7月までに合計9機が製造されており、さらに搭載量を若干向上させた改修型「MXY5a」として3機が追加製造されています。

機体の特徴

この滑空機は金属製の骨組みに、一部は木製の素材が使用されており、外部は合板または羽布で覆われています。機体の車輪に関しては、練習機は引込式とされましたが、実戦機では投下式の設計が採用されました。また、兵員の輸送能力は11名以上であり、最大で12名の搭乗が可能です。

曳航には九六式陸上攻撃機または一式陸上攻撃機が使用され、1機の曳航機で本機2機を同時に曳航することができました。曳航機との間での電話連絡が可能であり、運用の柔軟性を確保していました。操縦席は並列複座の設計でありながら、1名だけで操縦可能という条件も考慮されています。

基本情報

以下は十六試特殊輸送機の主な諸元です。

• - 全長: 12.50 m
• - 全幅: 18.00 m
• - 全高: 3.57 m
• - 主翼面積: 44.0 m²
• - 自重: 1,600 kg
• - 全備重量: 2,700 kg
• - 乗員: 1名
• - 輸送兵員: 11名

これらの特性が、十六試特殊輸送機の設計と運用における特異性を示しています。

関連情報

十六試特殊輸送機の開発には、航空機における力の利用が影響を与えており、特にその練習機として開発されたグライダーにおいて実現されました。この機体は複数の要素が組み合わさった結果として生まれたものであり、当時の航空技術の進歩を象徴するものといえるでしょう。

本機に関する詳細な情報は、野沢正の著作『日本航空機総集 愛知・空技廠篇』にて確認できます。これにより、この試作機がどのように開発され、航空戦略において果たした役割を理解する手助けとなるでしょう。

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