十和田観光電鉄

十和田観光電鉄株式会社の概要とその歴史

十和田観光電鉄株式会社（通称：十鉄）は、青森県南東部を中心にバス事業を営む企業です。かつては鉄道事業も行っていましたが、現在はバス運営に特化しています。1980年代からの経営環境の変化に伴い、会社は数回の再編を経て、今に至ります。以下では、その沿革や経営の変遷について詳しく見ていきましょう。

会社の設立と初期の歴史

十和田観光電鉄の起源は、1913年にさかのぼります。当初は、軌道特許を取得した遠藤忠次右衛門らによって設立された十和田軌道株式会社が出発点です。1914年には十和田軌道として法人化し、1920年には十和田鉄道に改称されました。鉄道の拡張や電化を経て、1951年に現在の社名に変更されました。

事業の多様化と観光業への進出

1954年には十和田湖畔に位置する旅館「太陽」を買収し、観光事業へと本格的に参入しました。その後、湖上遊覧船の運航を始め、十和田湖を中心とした観光販売に力を入れるようになりました。

経営の変遷

経営の転機は1969年、国際興業の傘下に入ったことでした。この提携により、十和田観光電鉄は更なる事業拡大を目指しました。しかし、その後も経営環境は厳しく、特にバス事業の苦境が続きました。そのため、会社は2008年に新旧分離方式での事業再建を図る決定を下しました。

新会社への事業譲渡

2007年には親会社の国際興業が関連企業を含む78億円の債務を引き受け、2008年3月には新会社「とうてつ」が設立され、従来の全事業がこれに譲渡されました。この新会社の設立により、経営が新たなページを迎えたのです。

鉄道事業の廃止

かつての鉄道事業も、2012年には廃止されることが決まりました。七戸十和田駅の開業や新幹線全線開業により、利用客が大きく減少したため、沿線自治体からの支援が得られなかった結果でした。鉄道からバスへの転換が行われ、鉄道運行は終了し、「十和田三沢線」が新たに運行を開始しました。

現在のバス事業

十和田観光電鉄は、現在もバス事業を主体に、地元の交通網を支える重要な役割を果たしています。十和田市、八戸市、三沢市、及び周辺町村を巡る路線があり、定期観光バスや高速バスも運営されています。最近では交通系ICカードの導入なども行い、利便性向上にも努めています。

結論

十和田観光電鉄株式会社は、地域の交通機関としての役割を持ちながらも、流動的な経営環境の中で、多くの変革を遂げてきました。今後も、地域との結びつきを大切にした事業展開で、さらなる発展が期待されています。

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