十四年式重迫撃砲

十四年式重迫撃砲について

十四年式重迫撃砲（14ねんしきじゅうはくげきほう）は、大日本帝国陸軍が1925年に開発した274mm口径の重迫撃砲です。この火砲は、いわゆる野戦重砲と同じような高い機動性を有し、大きな破壊力を持つことが設計上の特徴です。

開発の背景

本砲の開発は、大正9年（1920年）に始まりました。陸軍の研究方針に基づいて、射程500mから2,000mに及び、砲弾の炸薬量が40kg以上という強力な火力を持つことを目指していました。設計はすぐに進められ、1932年には試作が完了し、実地での試験が行われました。

当初はさまざまな要件が定められ、口径、射程、砲弾重量、炸薬量、射界などが具体的に規定されました。これに基づき、大正10年10月には大阪の砲兵工廠に試作砲の設計と製造が発注され、翌年には完成しました。長田野演習場での試験では、機能が概ね良好であることが確認され、その後の試験でも弾道性や破壊力が評価されました。

構造

この重迫撃砲は、運搬を容易にするために砲身車と砲架車の2つに分解できる構造になっています。砲身車には砲身、駐退機、照準器などが含まれており、砲床車はそれに付随する各部品を搭載します。総重量は砲身が2,980kg、砲床車が1,930kgであり、ホルト5t牽引車によって運搬されます。

砲身は単肉鋼製で、螺式の閉鎖機を持ち、施条の構造により高精度な射撃が可能です。射撃時は適切な揺架に取り付けられ、高低・左右の調整が可能です。特に、高さ45度から80度までの範囲での高低調整ができ、発射時には標的に対して精度を持たせることができます。

使用弾薬

十四年式重迫撃砲が使用する弾薬は「十四年式榴弾」で、全備弾量は134.4kgです。炸薬の量は41.5kgであり、信管は「改修」型の延期弾底信管を使用します。装薬には複数の種類があり、射程と威力に応じた調整ができるため、作戦ごとの要求に対応することが可能です。

砲弾の発射速度は装薬の種類によって異なり、最大2,400mの射程を持っています。また、様々な目標に対処できるよう、改良されたタイプの弾薬も開発されており、再装填が容易になるような工夫が施されています。

実戦での使用

この砲は、昭和7年（1932年）の第一次上海事変において、海軍に譲渡され実戦に使用されました。その後、海軍による後継火砲として九六式重迫撃砲が開発されました。十四年式重迫撃砲は、短命ではあったものの、その高い威力と運動性能により、多くの注目を浴びました。

結論

十四年式重迫撃砲は、当時の火砲として高い性能を持ち、大日本帝国陸軍において重要な役割を果たしました。今や歴史の一部となったこの火砲の技術と設計思想は、後の砲兵技術に影響を与える要素ともなりました。

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