十団子

十団子（とうだんご）とは

十団子は、日本の伝統的な和菓子で、団子を糸や串で繋いだ形状が特徴的です。江戸時代から親しまれてきたこの菓子は、地域ごとに名称や製法が異なります。特に静岡県、宮城県、愛知県にそれぞれの文化と歴史による独自の十団子が存在します。

宇津ノ谷の十団子

静岡県静岡市駿河区の宇津ノ谷で製造されている十団子は、東海道の宇津ノ谷峠近くで道中の軽食として販売されることが多いです。江戸時代の紀行文や川柳には、糸で貫いた小さな団子が数珠のように見える様子が描写されています。地蔵菩薩の教えに基づいて作られており、子供に与えると万病が癒えると言われています。地域の慶龍寺では、毎年8月23日と24日に十団子を販売し、前年のものを寺に返して新しいものを家の軒先に飾る風習があります。この行事は地域の人々の無事を祈る大切な祭りとなっています。

日本遺産への認定

2020年6月19日、宇津ノ谷の十団子は、「日本遺産」として認定されました。この認定は、東海道宇津ノ谷に関連する文化財群に含まれ、特に文化庁の「旅ブーム」を促した重要な物語として評価されています。

塩竈の十団子

宮城県塩竈市でも有名な十団子が存在します。この地域では藤団子とも呼ばれ、色とりどりのあられが特徴です。藤団子の起源は、塩竈神に従い塩焼きの釜を引いた牛の鼻に藤の蔓を通して花を咲かせたことに由来しています。この団子は厄除けの意味があり、子供たちに配られることが多いです。文久の時代に遡ると言われており、当時は駄菓子研究家によっても紹介されます。赤・緑・黄・紫・白の五色の団子が円環状に結ばれ、39粒の団子が赤い糸でつながれています。この十団子は江戸時代から明治時代にかけて塩竈の特産品として知られていました。

熱田神宮の藤団子

愛知県名古屋市の熱田神宮に由来する藤団子もお忘れなく。この団子は、白、赤、黄、紫、緑の五色に染められた団子が環状に形作られ、細い紐で結ばれています。神饌菓子から変化したものとされ、祭事の際に使用された米を用いて作られることが多いとされています。有平糖から作られたバリエーションもあり、見た目の美しさから多くの人に愛されています。

まとめ

十団子はその名称や形状、製法が地域によって異なりますが、共通して日本の歴史や文化に根付いた大切なお菓子です。各地での独自の風習や歴史を楽しむことで、十団子の魅力をより深く理解することができるでしょう。日本の風土と伝統を感じることができるこの和菓子は、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。

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