十字砲火 (映画)

『十字砲火』（Crossfire）は、1947年にアメリカで製作されたノワール・ドラマ映画であり、エドワード・ドミトリクが監督を務めました。この作品は、同年にアカデミー作品賞を受賞した『紳士協定』と同様に、反ユダヤ主義をテーマとした社会派ドラマです。脚本はジョン・パクストンが、リチャード・ブルックスの1945年の小説『The Brick Foxhole』を基に執筆しました。

物語の背景

映画の物語は、第二次世界大戦後のアメリカ社会における偏見と憎悪を描いています。帰還兵のジョセフ・サミュエルズが殺害される事件を軸に、人種差別と偏見がもたらす悲劇が展開されます。

主要キャスト

フィンレイ警部：ロバート・ヤング
キーリー軍曹：ロバート・ミッチャム
モンゴメリー：ロバート・ライアン
ギニー・トレメイン：グロリア・グレアム
ミスター・トレメイン：ポール・ケリー
ジョセフ・サミュエルズ：サム・レヴェン
ルイス：マリオ・ドワイアー
メアリー・ミッチェル：ジャクリーン・ホワイト
フロイド・バウワーズ：スティーヴ・ブロディ
アーサー・“ミッチ”・ミッチェル：ジョージ・クーパー
ビル・ウィリアムズ：リチャード・ベネディクト
リチャード・パワーズ刑事：トム・キーン
リロイ：ウィリアム・ピップス
ハリー：レックス・バーカー

制作の背景

原作となったリチャード・ブルックスの小説『The Brick Foxhole』は、彼が海兵隊でトレーニング映画を撮影する傍ら、執筆されました。小説の発表当時、ブルックスは従軍中でした。原作では同性愛者が差別と暴力の対象でしたが、当時のハリウッドの検閲制度であるヘイズ・コードでは同性愛を「性的倒錯」と見なしていたため、映画化にあたってテーマが反ユダヤ主義に変更されました。

また、ブルックスは海兵隊時代にロバート・ライアンと知り合い、彼に映画への出演を打診したというエピソードがあります。

映画の特徴と評価

『十字砲火』は、その社会的なテーマと緊迫感あふれる演出により、批評家から高い評価を得ました。特に、当時のアメリカ社会に根深く存在していた偏見や差別を正面から描いた点が評価されました。

アカデミー賞ノミネート

本作は、第20回アカデミー賞において、以下の5部門にノミネートされました。

作品賞
監督賞（エドワード・ドミトリク）
助演男優賞（ロバート・ライアン）
助演女優賞（グロリア・グレアム）
脚色賞（ジョン・パクストン）

影響と意義

『十字砲火』は、その後の映画製作に大きな影響を与え、社会問題をテーマにした作品の先駆けとなりました。また、ノワール映画のジャンルにおいても重要な作品の一つとして位置づけられています。

外部リンク

十字砲火 - allcinema
Crossfire - American Film Institute Catalog（英語）
Crossfire - IMDb（英語）
Crossfire - オールムービー（英語）
Crossfire - TCM Movie Database（英語）
* Crossfire film trailer - YouTube

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