十念

十念（じゅうねん）とは

十念とは、一般的に浄土教において「南無阿弥陀仏」を十回称える作法として広く知られています。しかし、仏教においては、10種類の観想（イメージ）を行う修行法も指します。

浄土教における十念

浄土教では、阿弥陀仏の救済を信じ、「南無阿弥陀仏」と称えることで極楽往生を願います。この称名念仏において、特に重視されるのが「乃至十念」という考え方です。これは、浄土教の根本経典である『無量寿経』の第十八願に説かれており、往生するための重要な要件とされています。

浄土教における十念の称え方には、いくつかの形式があります。以下に代表的な例を挙げます。

「四念、四念、二念」と区切る称え方

この形式では、まず「南無阿弥陀仏」を4回続けて称え（「なむあみだぶ」と発音）、息継ぎをします。次に再び4回称え、息継ぎをした後、最後に「南無阿弥陀仏」を2回称えます。この際、最後の2回は「なむあみだぶつ」「なーむあみだぶ」と少し発音を変えることがあります。


南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏（「なむあみだぶ」と称える）
（息継ぎ）
南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏（「なむあみだぶ」と称える）
（息継ぎ）
南無阿弥陀仏（「なむあみだぶつ」） 南無阿弥陀仏（「なーむあみだぶ」と称える）

「八念、二念」と区切る称え方

この形式では、「南無阿弥陀仏」を8回続けて称え（「なむあみだぶ」と発音）、息継ぎをします。その後、2回称えます。最後の2回は「なむあみだぶつ」「なーむあみだぶ」と発音を変えることがあります。


南無阿弥陀仏 …（六念）･･･ 南無阿弥陀仏（「なむあみだぶ」と称える）
（息継ぎ）
南無阿弥陀仏（「なむあみだぶつ」） 南無阿弥陀仏（「なーむあみだぶ」と称える）

その他の称え方

上記以外にも、様々な称え方があります。例えば、高僧から念仏を授かる「授与十念」という儀式も存在します。

仏教における十念

仏教における十念は、単に念仏を称えるだけでなく、10種類の対象を心に念じる修行法を指します。この10種類とは、以下の通りです。

1. 念仏（ねんぶつ）: 仏の姿や功徳を心に念じること。
2. 念法（ねんぽう）: 仏の教え（法）を心に念じること。
3. 念僧（ねんそう）: 仏の教えを実践する僧侶を心に念じること。
4. 念戒（ねんかい）: 仏の教えを守るための戒律を心に念じること。
5. 念施（ねんせ）: 他者に施しをすること、その行為を心に念じること。
6. 念天（ねんてん）: 天界の住人たちの善行を心に念じること。
7. 念休息（ねんきゅうそく）: 煩悩から離れ、心を静めることを心に念じること。
8. 念安般（ねんあんばん）: 呼吸を観察する瞑想を心に念じること。
9. 念身（ねんしん）: 自身の身体の不浄さを心に念じること。
10. 念死（ねんし）: 死を心に念じ、無常を悟ること。

これらの十念は、日々の生活の中で行うことで、仏教の教えを深く理解し、心を清めるための重要な修行とされています。

まとめ

十念は、浄土教における称名念仏の作法としてだけでなく、仏教全体における重要な瞑想修行法としても位置づけられています。これらの実践を通じて、私たちはより深い心の安らぎと悟りを得ることができるでしょう。

関連項目

* 勤行 (浄土宗))

もう一度検索