十石峠

十石峠とは

十石峠（じっこくとうげ）は、長野県南佐久郡佐久穂町と群馬県多野郡上野村にまたがる峠で、その標高は1,351mです。この峠は、かつて信州佐久盆地から上州地方西部の米の運搬が行われていた道に由来しています。米の輸送が営まれたことから「十石峠」と名付けられたとされ、米に加え味噌や醤油といった物資が信州から運ばれ、上州では炭や紙が運ばれていました。当時の運搬に従事した馬子たちの歌である「十石馬子歌」は、今も彼らの生活と結びついた文化の一端として伝わっています。

また、十石峠は歴史的にも重要な地点です。特に秩父事件の際には、困民党軍がこの峠を越えて馬流での敗走を余儀なくされたと言われています。現在も過去の歴史を秘めた峠として、多くの人々に親しまれています。

現在の交通状況

現在、十石峠は国道299号および国道462号の一部となっておりますが、全体的に路幅が狭く、路面状況もあまり良くありません。特に関東地方の国道の中では最悪の整備状況にあり、しばしば「酷道」として知られることもあります。1999年の台風によって土砂崩れが発生し、以降も度々道路が通行止めとなり、2004年までの数年間は通年縮小が続く不都合がありました。今でも大雨が続けて降ると交通が制限され、冬には積雪のために閉鎖されることが多いです。

冬季の通行止めは、通常12月24日から翌年の4月8日までの間です。このため、地元では矢弓沢林道を迂回路として利用することがあります。また冬季には田口峠が代替ルートとして使われることもあります。群馬県側は、台風19号により被害を受けましたが、2022年4月25日に2年半ぶりに通行制限が解除され、両県間の交通が再び可能になりました。

十石峠は非常に狭いため、大型車の通行はできない上、普通車同士がすれ違うのも難しい状況です。道路は舗装されているものの、所々に砂利や砂が浮いているため、注意が必要です。これにより、交通事故の危険性も高まります。

今後の整備計画

現在、十石峠に対する抜本的な整備対策が国土交通省の事務所によって計画されています。この計画では国道299号の拡幅整備や、長大トンネルバイパスなど、複数の案が検討されています。今後十石峠が利用しやすくなることを期待する声も多いですが、これが直轄権限代行によって進められることとなる模様です。

まとめ

十石峠はその美しい自然と歴史的背景を持つ興味深いスポットです。しかし、交通事情が厳しく、特に冬季の運転には注意が必要です。今後の整備に期待しつつ、訪れる際は十分に準備を整えて出かけることをおすすめします。

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