十綱橋

福島市飯坂温泉のシンボル、十綱橋

十綱橋は、福島県福島市の飯坂温泉街を流れる摺上川に架かる橋です。飯坂温泉駅のすぐ隣に位置し、温泉街のランドマークとして親しまれています。現在の橋は1915年（大正4年）に竣工したもので、全長51.7mの鋼上路2ヒンジブレーストリブアーチ橋という形式を持ちます。現存する大正期の鋼アーチ橋としては最も古いものの一つであり、その歴史的価値から2004年に土木学会選奨土木遺産に認定されました。

歴史

十綱橋の歴史は古く、平安時代にまで遡ります。当時、橋の両岸を十条の藤の綱で結び、その上に板を渡して往来していたことから「十綱橋」と呼ばれるようになったと言われています。その様子は歌にも詠まれ、古くから人々に親しまれてきました。

1189年（文治4年）には、源頼朝の軍勢が奥州征伐のためにこの地を訪れた際、地元の城主である佐藤基治が、敵の侵攻を防ぐために橋を切り落としたと伝えられています。その後、長らく橋は架けられることなく、「十綱の渡し」という渡し船が人々の往来を支えていました。

明治時代に入り、地元の盲目の按摩師である伊達一が架橋を陳情し、私財を投じて橋の建設を訴えました。また、菓子行商人の熊坂惣兵衛も協力し、1873年（明治6年）に木製の橋が架けられましたが、わずか10ヶ月後に崩落してしまいます。

その後、伊達と熊坂の尽力により、1875年（明治8年）に吊り橋として再建されました。しかし、この橋も老朽化が進み、架け替えられることになります。

1914年（大正3年）に現在の鋼製アーチ橋が着工され、翌年9月に完成しました。この橋は、1944年（昭和19年）の飯坂大火にも耐え抜き、その後も補強や改修を重ねながら、現在に至っています。

構造と特徴

十綱橋は、鋼上路2ヒンジブレーストリブアーチ橋という形式で、アーチリブが美しい曲線を描いているのが特徴です。橋長は51.7m、最大支間長は40.24m、幅員は6.5mです。橋脚は半重力式で、直接基礎の上に建てられています。

2008年には拡幅工事が行われ、高欄に組み込まれた照明が設置されました。また、夜間にはライトアップが行われ、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しむことができます。

現在

十綱橋は、現在も地域の交通を支える重要な橋として利用されています。また、その美しい景観は多くの人々を魅了し、飯坂温泉を代表する観光スポットとなっています。橋の周辺には、温泉旅館や飲食店などが立ち並び、散策を楽しむことができます。

十綱橋は、単なる橋としてだけでなく、地域の歴史や文化を伝える貴重な存在です。飯坂温泉を訪れた際には、ぜひ十綱橋を訪れて、その歴史と美しさに触れてみてください。

アクセス

福島交通飯坂線飯坂温泉駅より徒歩すぐ
東北自動車道福島飯坂ICより車で約15分

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