千妙寺

千妙寺について

千妙寺（せんみょうじ）は、茨城県筑西市にある天台宗の寺院です。この寺は、834年（承和元年）に慈覚大師円仁によって開かれました。当初は現在の場所から南東に約6キロメートル離れた赤浜という場所にありましたが、平将門の兵乱（承平天慶の乱）によって建物が焼失してしまいました。

1351年（観応2年）には、崇光天皇の勅命により、亮守という僧侶が現在地に寺を再建しました。この時、寺の名前も「承和寺」から「千妙寺」へと改められました。

現在、天台宗の関東における総本山としての役割は、東京都台東区の寛永寺が担っています。しかし、寛永寺が創建されるまでは、千妙寺が事実上の関東総本山としての重要な役割を果たしていました。崇光天皇が亮守に寺の再建を命じた背景には、千妙寺の重要性を認識していたことが窺えます。このような歴史的経緯から、千妙寺には数多くの文化財が所蔵されています。また、千妙寺では「伝法灌頂」と呼ばれる特別な秘法が伝えられており、現在の天台宗において、この秘法を執り行うことができるのは、総本山である延暦寺と千妙寺のみです。

文化財

千妙寺には、以下の多くの文化財が所蔵されています。

絹本著色毘沙門天像：1幅（茨城県指定文化財、平成28年1月21日指定）
絹本著色日吉山王本地仏曼荼羅図：1幅（茨城県指定文化財、平成28年1月21日指定）
東睿山千妙寺総本堂：（筑西市指定文化財、昭和55年10月20日指定）
銅五鈷杵：（筑西市指定文化財、昭和58年4月15日指定）
銅五鈷鈴：（筑西市指定文化財、昭和58年4月15日指定）
茅屋山水蒔絵硯箱：（筑西市指定文化財、昭和59年3月19日指定）
絹本著色刀八毘沙門天星宿像：（筑西市指定文化財、昭和59年3月19日指定）
絹本著色馬形護法童子像：（筑西市指定文化財、昭和59年3月19日指定）
絹本著色護法童子像：（筑西市指定文化財、昭和59年3月19日指定）

これらの文化財は、千妙寺の長い歴史と文化的な価値を物語る貴重なものです。

交通アクセス

千妙寺へは、JR水戸線黒子駅から徒歩約7分で到着します。参拝の際には、公共交通機関を利用するのが便利です。

まとめ

千妙寺は、歴史的にも文化的にも重要な価値を持つ寺院です。天台宗の関東における重要な拠点であり、数々の文化財と秘法を今に伝えるこの寺は、訪れる人々に深い感動と学びを与えてくれるでしょう。その歴史と文化に触れるために、ぜひ一度足を運んでみてください。

参考資料

稲葉博 著『関東古社名刹の旅2（群馬・栃木・茨城編）』読売新聞社、1987年
* 天台宗 東睿山 千妙寺 公式サイト｜茨城県筑西市黒子の天台宗寺院

もう一度検索