千島海溝

千島海溝とは

千島海溝は、太平洋北西部に位置する海溝で、カムチャツカ半島南部から千島列島の南岸に沿って、北海道南東部まで続いています。この海溝は、千島・カムチャツカ海溝、クリル・カムチャッカ海溝、クリル海溝など、複数の名称で呼ばれることがあります。南端は襟裳海山に接し、その南方には日本海溝が連なっています。また、北端はベーリング島南西沖でアリューシャン[[海溝]]と接続しています。海溝の大部分は水深7,000m以上で、最も深い場所は9,550mに達します。

千島海溝は、太平洋プレートが北アメリカプレート（またはオホーツク[[プレート]]）の下に沈み込むことで形成されたと考えられています。このプレートの沈み込みによって、海溝周辺では地震が頻繁に発生します。

千島海溝における地震

千島海溝の周辺では、プレートの沈み込みによって、マグニチュード8クラスの巨大地震が周期的に発生しています。これらの地震は、プレート間地震、アウターライズ地震、スラブ内地震など、様々なタイプがあります。

過去に発生した主な地震としては、以下のようなものがあります。

プレート間巨大地震
十勝沖[[地震]]（1843年、1915年、1952年、2003年など）
根室半島沖地震（1894年、1973年）
択捉島沖地震（1918年、1963年）
1918年ウルップ島沖地震（M 8.0）
1952年カムチャツカ[[地震]]（M 9.0）
2006年千島列島沖地震（Mw 8.3）
スラブ内地震
1915年千島列島沖地震（シムシル島沖）（M 8.0）
1958年択捉島沖地震
1993年釧路沖地震（Mj 7.5）
1994年北海道東方沖地震（Mj 8.2）
アウターライズ地震
1918年ウルップ島沖地震（M 7.7）
2007年千島列島沖地震（Mw 8.1）

これらの地震は、北海道や東北地方を中心に、津波による大きな被害をもたらす可能性があります。そのため、日本政府などは、この地域を重点的な研究・警戒地域としています。

地震サイクル

千島海溝における地震は、ある周期性を持って発生することが知られています。一つの地震サイクルの中で、プレート境界型の巨大地震の震源域は、互いに重ならないように発生します。近年のサイクルは、1952年の十勝沖[[地震]]（M 8.2）から始まり、1963年の択捉島沖地震（M 8.1）、1968年の十勝沖[[地震]]（M 7.9）、1969年の北海道東方沖地震（M 7.8）、1973年の根室沖地震（M 7.4）と発生し、第一種地震空白域を埋め終わりました。2003年の十勝沖[[地震]]（M 8.0）は、新たなサイクルの始まりとする研究もあります。

また、2003年の十勝沖[[地震]]の震源域では、1990年頃から第二種地震空白域が形成されていたことがわかっています。

連動地震

千島海溝では、根室半島沖地震と十勝沖[[地震]]が連動することで、マグニチュード8から9クラスに達する巨大地震が発生する可能性も指摘されています。過去の津波堆積物の調査から、過去6500年間に最大18回、約340〜380年間隔で連動型地震による大津波が発生したと推定されています。最新のものは17世紀に発生したと考えられており、もし1611年の発生だった場合、前回から既に410年ほどが経過しており、切迫性が高いとされています。

北海道大学の平川一臣教授は、1611年の慶長三陸地震が、従来の説とは異なり、千島海溝沿いの色丹島沖から襟裳岬沖までの範囲を震源とする最大M9の超巨大地震であった可能性が高いという新説を提唱しています。この説によれば、北海道東部にはこの地震による15〜20mの津波が到達した痕跡が残っているとされています。

将来発生する連動型地震の規模は、千島海溝沿いで最大M9.3、日本海溝北部（日高沖）でM9.1と推定されており、北海道や岩手県の沿岸部では30m近い大津波が襲来する可能性があるとされています。さらに、東北地方太平洋沖地震（東日本大震災）の発生前に、北陸で内陸型地震が頻発していた例を挙げ、北海道胆振東部地震が将来の千島海溝沿いの巨大地震の先駆的な地震だった可能性を指摘する研究もあり、現在の北海道は内陸型地震が発生しやすい環境にあると分析されています。

関連情報

日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震

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