千綿川

千綿川（ちわたがわ）

千綿川は、長崎県東彼杵町を流れる二級河川で、多良山系の北西斜面から始まり、大村湾へと流れ込んでいます。この川は火山性台地を流れることで形成された険しい渓谷を持ち、周囲の美しい自然環境とともに多くの観光客を惹きつけています。

流域の特徴

千綿川の水源は、多良山系に位置する郡岳（826m）、遠目山（849m）、国見岳（816m）などの山々で、これらの山々から流れ出る水が川の源となります。川は上流部では険しい谷を形成し、西へと流れ続け、遠目郷の台地「大野原」の南側に達します。この地域には自然の美しさを活かした棚田や茶畑、また陸上自衛隊の演習場などが広がっています。

千綿渓谷の魅力

千綿川は、大野原からさらに西へ流れ、大村湾へ続く約5kmにわたるV字谷を形成しています。この渓谷では連続する滝と淵の美しい景観が広がり、周囲の特殊な玄武岩質の崖や豊かな植生が織りなす風景は、まさに自然の宝庫です。江戸時代の弘化2年（1845年）には、大村藩主の大村純顕がこの地を訪れ、数多の滝や淵に名前を付けたという伝説があります。特に「千綿渓四十八潭」と名付けられた名前は、彼が名付けた滝や淵の数に由来しています。

「龍頭泉」は、渓谷の奥に位置する滝に最初に付けられた名称ですが、現在では千綿川全体を指すことも多くなっています。1952年には、観光化が進められ、アクセスしやすい環境が整いました。このため、夏には多くの観光客が涼を求めて訪れるほか、春の新緑や秋の紅葉といった季節ごとの風景も楽しむことができます。

千綿地域の生活

川の下流域に位置する千綿地区は、扇状地の上に広がる田畑があり、北から流れ込む塩鶴川との合流点に千綿の住宅地と漁港があります。千綿は昔から長崎街道の宿場町「千綿宿」として知られており、その名残として今でも人形浄瑠璃などの伝統文化が伝えられています。

また、川では内水面漁業が行われており、ウナギやアユ、フナ、ハヤ、さらにモクズガニも捕獲されていますが、現在モクズガニは禁漁です。

アクセスと周辺施設

千綿川へのアクセスは、JR九州の大村線や国道34号が流域に架かる橋を通じて可能です。また、長崎自動車道の千綿川橋も流域の谷を渡っており、地域の交通の要所となっています。国道34号から千綿渓谷へ進む長崎県道190号千綿渓線も活用され、多くの人々が訪れる空間となっています。

千綿川は、その魅力的な自然環境と地元の歴史的背景を持ち合わせた特別な地域です。四季折々の美しさを楽しむことができ、一年を通じて訪れる価値のあるスポットといえるでしょう。

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