大村線

大村線

大村線は、長崎県佐世保市の早岐駅から長崎県諫早市の諫早駅に至る、九州旅客鉄道（JR九州）が運営する鉄道路線です。地方交通線に分類され、長崎県内を南北に縦断する形で、主に大村湾東岸に沿って敷設されています。この路線は、県内の重要な生活路線としての役割を担い、沿線住民の足として利用されるだけでなく、観光客向けの列車も運行されています。

概要

大村線は、佐世保市から諫早市を経由して長崎市を結ぶ列車が運行されています。県内のみを走るJR線としては唯一の存在であり、沿線人口も多いため、県内の重要路線としての役割を担っています。路線の大部分は非電化区間ですが、ハウステンボスへのアクセス列車である特急「ハウステンボス」が乗り入れる早岐駅 - ハウステンボス駅間は電化されています。

IC乗車カード「SUGOCA」は、早岐駅 - ハウステンボス駅間と竹松駅 - 諫早駅間でのみ利用が可能です。ただし、利用可能エリアを跨いでの利用はできません。また、リアルタイム列車位置情報システム「どれどれ」は、CTC非対応のため、大村線では使用できません。ただし、長崎本線の諫早駅、佐世保線の早岐駅に停車中の列車のみ閲覧できます。大村線関連の特別企画乗車券として、佐世保駅 - 長崎駅間が2日間乗り放題になる「ぶらり大村線きっぷ」が発売されています。

大村線は、元々長崎本線の一部でしたが、1934年に分離されました。分離当初は早岐駅が起点となり、列車は佐世保線に合わせて諫早・長崎方面が下り、早岐・佐世保方面が上りとなっていました。

2022年9月23日に西九州新幹線が開業し、新大村駅 - 諫早駅間が新幹線と並行するようになりましたが、選択乗車はできません。

路線データ

管轄（事業種別）: 九州旅客鉄道（第一種鉄道事業者）
路線距離（営業キロ）: 47.6 km
軌間: 1067 mm
駅数: 15駅（起終点駅を含む。大村線所属駅に限定した場合は13駅）
複線区間: なし（全線単線）
電化区間: 早岐駅 - ハウステンボス駅間（交流20,000 V・60 Hz）
閉塞方式: 特殊自動閉塞式（電子符号照査式）
最高速度: 95 km/h
管轄支社: 全線が長崎支社の管轄

利用状況

各年度の平均通過人員や旅客運輸収入については、変動があります。

運行形態

優等列車

電化区間の早岐駅 - ハウステンボス駅間には、博多駅 - ハウステンボス駅間の特急「ハウステンボス」が運行されています。ピーク時には増発されることもあります。特急「ハウステンボス」は、一部を除き佐世保線佐世保駅発着の特急「みどり」に併結され、大村線内ではワンマン運転が行われます。かつては、早岐駅 - ハウステンボス駅間に「ハウステンボスリレー号」も運行されていましたが、2017年11月30日に運行を終了しました。

非電化区間のハウステンボス駅 - 諫早駅間には、2022年9月23日現在、定期の優等列車は運行されていません。過去には、大村線を経由して博多駅や本州と長崎駅を結ぶ優等列車も設定されていましたが、1988年3月13日に急行「平戸」が廃止されて以降、優等列車は姿を消しました。1999年に特急「シーボルト」が設定されましたが、2003年3月15日に廃止されました。2022年9月23日からは、D&S列車である特急「ふたつ星4047」の午後便が長崎駅 → 武雄温泉駅間で運行を開始し、非電化区間に優等列車が復活しました。

地域輸送

普通列車は、全線を通して運転される列車のほか、竹松駅 - 諫早駅・長崎駅間の区間運転列車が日中を中心に設定されています。線内で完結する列車は少なく、大半が佐世保線佐世保駅または長崎本線長崎駅まで直通しています。竹松駅 - 諫早駅間は、区間運転列車を含めて30分 - 1時間に1本程度と運転本数が多くなっています。一方、早岐駅 - 竹松駅間は朝と夕方以降のみの運転で、日中は区間快速が普通列車の役割を兼ねています。

快速列車は、佐世保駅・早岐駅・竹松駅 - 長崎駅間に「シーサイドライナー」が設定されています。2018年3月17日のダイヤ改正から、昼間の「シーサイドライナー」の一部は佐世保駅 - 竹松駅間の各駅に停車する区間快速として運転されています。

2022年までは、臨時列車として有田陶器市期間中に武雄温泉駅・上有田駅 - 長崎駅間の快速「有田陶器市20・21号」が運行されていました。2023年からは西九州新幹線に接続するシャトル列車が運行されることになったため、この臨時列車は終了しました。

車両は、2020年3月からはYC1系気動車が使用され、2021年7月1日よりYC1系に統一されています。

2021年10月1日からは3・4両ワンマン運転を開始し、全列車がワンマン運転となりました。3両以上のワンマン列車は無人駅でもすべてのドアが開きます。

長崎駅に直通する列車は、長崎本線の喜々津駅 - 浦上駅間では、普通列車の大半が長与駅経由の旧線、「シーサイドライナー」全列車とごく一部の普通列車は市布駅経由の新線を経由しています。

千綿駅・小串郷駅は駅間が長く、列車交換ができないため、運行上のネックとなっています。そのため、前後の駅での待ち合わせが多く、上り列車は松原駅・川棚駅、下り列車は南風崎駅・彼杵駅で長時間停車することがあります。ハウステンボス駅では、同駅を跨いで運行する列車同士の交換ができなくなったため、早朝や夜間を中心に南風崎駅での列車交換が多くなっています。

かつては、快速「シーサイドライナー」の一部が佐世保駅から松浦鉄道西九州線佐々駅またはたびら平戸口駅まで乗り入れていましたが、2006年3月18日のダイヤ改正で中止されました。

2009年3月14日のダイヤ改正より、松浦鉄道からの直通運転が再開されましたが、2011年3月12日のダイヤ改正で松浦鉄道からの直通運転は早岐駅までに短縮され、大村線には乗り入れなくなりました。

団体専用列車

「或る列車」が、「長崎コース」として大村線経由で長崎駅 - 佐世保駅間に運行されます。また、クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」も、長崎へ向かう際の往路で大村線を経由します。

使用車両

気動車

キロシ47形（「或る列車」用）
キハ40系・キハ140系（「ふたつ星4047」用）
YC1系（全線）

電車

783系（ハウステンボス駅 - 早岐駅間、特急ハウステンボス・ハウステンボスリレー号）

臨時列車としては、787系、817系、415系などが乗り入れたことがあります。

客車

77系（「ななつ星in九州」用）

機関車

DF200-7000（「ななつ星in九州」牽引用ディーゼル機関車）

過去の主な使用車両

キハ40形・47形
キハ66・67形
キハ200系・キハ220形

歴史

大村線は、元々長崎線として九州鉄道により建設され、後に官設鉄道に編入されました。長崎本線のルート変更に伴い、1934年に長崎本線から分離され、大村線となりました。

1898年（明治31年）1月20日：九州鉄道が早岐駅 - 大村駅間を長崎線として開業。
1898年11月27日：大村駅 - 諫早駅 - 長与駅間が延伸開業し、鳥栖駅 - 長崎駅間が全通。
1907年（明治40年）7月1日：九州鉄道が国有化され、官設鉄道となる。
1909年（明治42年）10月12日：鳥栖駅 - 早岐駅 - 長崎駅間が長崎本線となる。
1922年（大正11年）5月25日：竹松駅を新設。
1928年（昭和3年）4月20日：千綿駅を新設。
1934年（昭和9年）12月1日：長崎本線から早岐駅 - 諫早駅間を分離し、大村線とする。
1944年（昭和19年）10月21日：小串郷駅を新設。
1945年（昭和20年）4月20日：岩松駅を新設。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化により九州旅客鉄道が承継、全線の貨物営業を廃止。
1989年（平成元年）3月11日：諏訪駅を新設。
1992年（平成4年）3月10日：ハウステンボス駅を新設、早岐駅 - ハウステンボス駅間を電化。
2002年（平成14年）3月23日：全線でワンマン運転開始。
2012年（平成24年）12月1日：竹松駅 - 諫早駅の各駅でICカード「SUGOCA」の取り扱いを開始。
2018年（平成30年）3月17日：昼間時の快速列車が区間快速に変更。
2020年（令和2年）3月14日：ダイヤ改正より順次ハイブリッド車両YC1系を投入。
2021年（令和3年）3月11日：キハ200形・キハ220形の運用が終了。
2021年6月30日：キハ66・67形が運行を終了。
2021年10月1日：3・4両ワンマン運転を開始し、全列車ワンマン運転となる。
2022年（令和4年）9月23日：新大村駅と大村車両基地駅を新設。
2024年（令和6年）10月3日：早岐駅 - ハウステンボス駅間でICカード「SUGOCA」の取り扱いを開始。
2025年（令和7年）度：ハウステンボス駅 - 竹松駅間でICカード「SUGOCA」を導入（予定）。

西九州新幹線との関係

2022年9月23日に西九州新幹線が開業し、大村線の一部区間と並行するようになりました。新幹線との接続駅として、新大村駅と大村車両基地駅が設置されました。ただし、新幹線と在来線は異なる経路として扱われ、選択乗車はできません。

駅一覧

停車駅

普通：すべての駅に停車
快速・区間快速（シーサイドライナー）：●印の駅は停車、▼印の駅は長崎行き1本のみ停車、｜印の駅は通過
特急：「ハウステンボス (列車)」参照

線路

全線単線。
◇・△・∨・∧：列車交換可能（△は交換列車の一方がハウステンボス駅発着の場合のみ交換可能）
｜：列車交換不可

全駅長崎県内に所在。

脚注

参考文献

川島令三編著『四国・九州ライン - 全線・全駅・全配線』5 長崎・佐賀エリア、講談社、2013年。ISBN 978-4-06-295164-7。

関連項目

日本の鉄道路線一覧

外部リンク

見たい。食べたい。遊びたい。 ぶらり[BuRaRi] 長崎【大村線】佐世保

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