千船町

千船町：歴史と変遷をたどる

千船町は、大阪府西成郡に存在した町で、現在の大阪市西淀川区の一部に位置します。その地名は、古くから伝わる和歌に由来しています。万葉集巻六に収められた歌「浜清く 浦うるはしみ 神代より 千船の泊つる 大和田の浜」は、この地が古くから船着場として栄えていた様子を物語っています。この歌が、千船町という地名の由来となっています。

地理的特徴

千船町は、左門殿川、神崎川、淀川の三川が交わる水辺の豊かな地域にありました。これらの河川は、古くから交通や生活用水として重要な役割を果たしており、町の発展に大きく貢献しました。

歴史の変遷

千船町の歴史は、元禄年間まで遡ります。この頃、蒲島新田と百島新田の開発が始まり、徐々に集落が形成されていきました。その後、明治22年（1889年）に町村制が施行されると、佃村、蒲島新田、大和田村、大野村、百島新田が合併して千船村が誕生しました。村役場は、大字大和田に設置されました。

明治43年（1910年）には、大字蒲島新田と大字百島新田の名称が、それぞれ蒲島と百島に改称されました。そして、大正11年（1922年）5月1日、千船村は町制を施行し、千船町となりました。

大正14年（1925年）4月1日、千船町は大阪市に編入され、西淀川区に含まれることになります。同時に、千船町は佃町、蒲島町、大和田町、大野町、百島町の5つの町に分割されました。昭和15年（1940年）には、蒲島町が佃町に編入されました。

その後も、昭和19年（1944年）には千舟東、昭和26年（1951年）には大和田東と大和田西、昭和36年（1961年）には大和田中といった新たな町名が次々と誕生しました。そして、昭和47年（1972年）には、現在の住居表示である佃、千舟、大和田、大野、百島が実施され、千船町としての歴史に幕を閉じました。

交通の状況

千船町には、阪神電気鉄道本線千船駅が設置されており、地域住民の重要な交通手段となっていました。現在では、旧町域を阪神高速3号神戸線が通過していますが、当時はまだ開通していませんでした。河川を利用した水運も重要な役割を果たしていたと考えられます。

まとめ

千船町は、古くからの歴史と豊かな自然に恵まれた町でした。万葉集に詠まれた歌にもその名を残す千船町は、河川を活かした発展を遂げ、大阪市の発展に貢献しました。その歴史は、現在も西淀川区の街並みや地名に受け継がれています。 千船町の変遷をたどることで、大阪の歴史の一端を垣間見ることができ、現代の都市形成への理解を深めることができます。

参考文献

角川日本地名大辞典 27 大阪府

関連項目

大阪府の廃止市町村一覧

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