千葉吉蔵

千葉吉蔵 - 日本映画の先駆者

千葉吉蔵（ちば きちぞう、1874年4月15日 - 1927年10月22日）は、日本の映画の黎明期において、撮影技術や編集技術の先駆者として知られています。彼は日本で初めて移動撮影、俯瞰撮影、ならびに劇映画のロケーション撮影を実施したことで、映画制作に多大な影響を与えました。

人物と生い立ち

千葉は、1874年に東京府下谷町で生まれました。吉沢商店幻燈部に参画し、現像技師としてキャリアをスタートさせました。1903年には同社がニュース映画の制作を始め、千葉は撮影技師としての役割を担うようになりました。当時、村上満麿や小西亮といった他の撮影技師とともに、映画の撮影制作に従事していました。

映画技術の革新

1905年には、枝正義郎が吉沢商店に加わり、彼は千葉の指導の下、エポックメイキングな作品『東郷大将活動写真』の制作に協力しました。この作品では、日本初の移動撮影および俯瞰撮影が行われ、千葉の技術力の高さを証明しました。

1908年、同社は撮影所を開設し、千葉は中野信近主演の『己が罪』の撮影に取り組みました。この作品は、神奈川県江ノ島でのロケーション撮影が行われ、劇映画における初のロケーション撮影とされています。それまでの静的な撮影スタイルを打破し、多彩な映像表現を可能にしました。千葉はその撮影時に、フィルムの交換に当たって「待った」と叫ぶ場面があり、技術の限界を感じさせつつも、映画制作における率先した役割を果たしました。

キャリアと日活への移籍

1912年10月、千葉が在籍していた吉沢商店は他の3社と合併し、日活を形成しました。彼はそのまま日活に留まり、翌年には新設の向島撮影所に異動しました。しかし、同時期に東洋商会が設立され、日活から独立した山川吉太郎に引き抜かれたことで、千葉は再び新たな挑戦を始めることとなりました。また、彼は1911年に独立し、東京日日新聞専属のニュース映画制作会社「千葉映画製作所」を経営することになりました。

死去とその後の影響

千葉は1927年に53歳で逝去しました。彼の死後、「千葉映画製作所」は長男の一郎が引き継ぎ、1933年から開始された『小学校地理映画体系』は日本初の体系的教材映画として評価されました。ただし、1945年の東京大空襲で壊滅的な打撃を受けました。次男の平八郎も戦後は横浜シネマ現像所に勤務し、映画技術の発展を支え続けました。

フィルモグラフィ

千葉の遺した作品は日本映画データベースに記載されている数が限られていますが、彼が残した影響は決して小さくありません。1911年、1913年にかけて多くの重要な作品に携わっており、彼が関与した代表的な作品には以下が含まれます。

• - 1905年: 『東郷大将活動写真』
• - 1906年: 『社会パック活動写真』
• - 1908年: 『己が罪』
• - 1909年: 『乳姉妹』 など。

まとめ

千葉吉蔵は、日本の映画界において重要な役割を果たした撮影技師でした。彼の革新性と技術は、後の世代の映画制作者に影響を与え、映画という表現手法の多様性を広げました。彼の功績は今なお評価され続けています。

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