孤島の太陽

映画『孤島の太陽』について

『孤島の太陽』は、1968年に日活が製作・配給した日本[[映画]]です。吉田憲二が監督を務め、千葉茂樹が脚本を担当しました。原作は伊藤桂一による小説『「沖ノ島」よ私の愛と献身を 離島の保健婦荒木初子さんの十八年』で、1968年9月21日に公開されました。この映画は、女優芦川いづみの引退作品としても知られています。

概要

この映画は、高知県宿毛市沖の島を舞台に、保健婦として現地で医療普及に尽力した荒木初子さんの実話に基づいています。終戦直後の昭和30年代、亜熱帯気候の孤島である沖の島と鵜来島は、美しい自然とは裏腹に、衛生状態が非常に悪く、無医村でした。乳児死亡率は本土の4倍にものぼり、フィラリア症は島特有の風土病として島民の健康を蝕んでいました。フィラリア症は「象皮症」とも呼ばれ、その見た目から島民だけでなく本土からの訪問者にも恐れられていました。

高知県の出身である荒木初子自身も結核を患っていましたが、療養後に保健婦の資格を取得し、故郷の沖の島へ赴任します。終戦直後で島民が強制疎開から戻り、ベビーブームも重なり、島には多くの人が住んでいました。

ストーリー

物語は、保健婦の資格を得て故郷の沖の島に戻った初子が、島民の衛生観念の低さに直面するところから始まります。迷信深く、昔からの風習が残る島では、衛生知識を受け入れてもらえず、初子は困難な状況に置かれます。そんな中、身寄りのない少女を引き取り育てながら、初子は献身的な活動を続けます。朝は事務をこなし、午後は家庭訪問、夜は助産婦として働き、時には島民の仲裁も行います。

ある日、青年団長の父親がフィラリア症で亡くなったことをきっかけに、獣医の門馬は医師への転身を決意し、初子はフィラリア症の研究のため奔走します。徐々に島民からの信頼を得て、乳児死亡率も低下していきます。しかし、初子に転勤の辞令が下り、島民は反対しますが、初子は島に残る決意を固めます。

キャスト

荒木初子：樫山文枝
高岡久平医師：勝呂誉
門馬獣医師：宇野重吉
青年団長・大治郎：前田吟
上村聖恵：芦川いづみ

その他、多くの俳優が出演しています。

エピソード

荒木初子は、映画公開の前年にフィラリア撲滅の功績で吉川英治賞文化賞を受賞しました。
試写会の直後に脳卒中で倒れ、半身不随となり保健婦を退職しました。
退職後も島で暮らし、島民から慕われました。
島民がエキストラとして多数出演し、多くのシーンがカットされました。
当時人気絶頂だった樫山文枝や芦川いづみらが僻地の孤島でロケを行うことは非常に珍しく、注目を集めました。
ロケ中は、樫山文枝も地元小学校の教員宅に寄宿し、島民との交流を深めました。

関連書籍

伊藤桂一著『「沖ノ島」よ私の愛と献身を　離島の保健婦荒木初子さんの十八年』（講談社刊）

テレビドラマ

1970年には、フジテレビ系列でテレビドラマ化もされました。小林千登勢が荒木初子を演じ、映画版の脚本を担当した千葉茂樹が、テレビドラマでも脚本を担当しました。

外部リンク

孤島の太陽 - allcinema
孤島の太陽 - KINENOTE
* 孤島の太陽 - IMDb

映画『孤島の太陽』は、荒木初子の献身的な活動を通して、人間の強さや愛情を描いた感動的な作品です。離島医療の現状や、地域社会の課題にも深く切り込んだ作品として、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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