千里山遊園

千里山遊園：歴史と変遷

千里山遊園は、大阪府吹田市に存在した、人々の記憶に残る遊園地でした。現在、その跡地は関西大学とその付属校である関西大学第一中学校・高等学校となっています。1921年（大正8年）、北大阪電気鉄道（現・阪急千里線）によって、約6万平方メートルの広大な敷地に千里山花壇として開園しました。開園当初は、花壇や園路、展望台、食堂、そして余興場などが整備され、四季折々の美しい花々が来園者を楽しませました。

その後、1923年（大正10年）には、新京阪鉄道も運営に加わり、遊園地としての魅力を高めるための整備が進められました。池の周囲には桜が植えられ、高さ10メートルにも及ぶ人工滝が設置されるなど、見どころが充実していきました。中でも、大阪市内を一望できる飛行塔は、来園者から高い人気を誇るアトラクションとなりました。

当時、大阪市近郊では唯一の遊園地として、多くの人々でにぎわいました。計画当初は劇場や温泉の建設も検討されていましたが、千里山の都市計画において住宅地への指定を受けたため、公園のようなスタイルで整備されることとなりました。1930年（昭和5年）、京阪電気鉄道が新京阪鉄道を合併したことで、千里山遊園も京阪電気鉄道の所有となりました。

戦時中の1943年10月、京阪電気鉄道は阪神急行電鉄と合併して京阪神急行電鉄となり、千里山遊園は「千里山厚生園」に改称されました。しかし、戦況の悪化により、1945年に閉鎖。一時、大阪陸軍軍需品支廠として利用されました。1946年、戦後復興の機運とともに営業を再開しました。

秋の名物、菊人形

千里山遊園は、菊人形でも知られていました。京阪電気鉄道の所有となる以前から、数千種類もの菊花が展示され、昭和初期には枚方の菊人形と並ぶ秋の名物として、多くの人々を魅了しました。年間40万人もの入場者数を記録した時期もあったそうです。第二次世界大戦中、枚方の香里遊園地（現・ひらかたパーク）が軍の資材や食糧増産のための農地として転用された時期には、1946年から1948年にかけて、千里山遊園で菊人形展が開催されました。

衰退と跡地

戦後、枚方の菊人形が再開されると、千里山遊園は次第に衰退していきました。そして1950年5月31日、営業を終了しました。閉園後、跡地には宗教法人が女子校を建設する計画がありました。最寄りの駅名も「千里山遊園駅」から「女子学院前駅」に変更されましたが、すぐに「花壇町駅」と改称されています。その後、1964年には廃止され、現在の「関大前駅」が開業しました。最終的に、跡地は学校法人関西大学が取得し、関西大学第一中学校・高等学校が、大阪市北区天神橋筋六丁目（現・天神橋六丁目）から移転してきたのです。

千里山遊園の施設

千里山遊園には、さまざまな施設がありました。サークリングウェーブ、野外音楽堂、大阪市内を一望できる飛行塔、展望台、滑り台、そして猿舎や孔雀舎がある動物園、運動場、菊人形館など、来園者を飽きさせない工夫が凝らされていたことが伺えます。

千里山遊園は、その歴史の中で、人々の憩いの場として、そして時代の変化を映し出す象徴として、存在感を示しました。現在は、その面影は校舎となり、新たな歴史を刻み続けています。

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