半地下

半地下について

概要

半地下とは、建物の一部が地上にあり、他の部分が地下に位置する居住空間を指します。この形態は、完全な地下室とは異なり、住居の一部が地上に露出している独特の形をしています。特に韓国では、「バンジハ」として知られ、下層住宅の代表的な形態となっています。

韓国における半地下

韓国では、半地下は貧困層の象徴的な居住形態として捉えられています。特にソウル市において家賃が高騰する中で、経済的に困難な状況にある多くの若者たちや家庭が半地下物件に暮らしています。最近の調査によれば、20代の平均収入は約200万ウォンですが、家賃だけで約54万ウォンを占めているため、経済的な負担が大きいことが窺えます。このため、半地下は手頃な住居として重要な選択肢となっているのです。

歴史的背景

半地下が普及した背景には、1968年に発生した青瓦台襲撃未遂事件が影響しています。この事件以降、韓国政府は地元の防空壕として地下室の設置を推奨し、1970年には新築低層住宅に地下室の設置を義務化しました。初めは賃貸を禁止されていましたが、1980年代に住宅不足が深刻化すると共に、賃貸が解禁され、半地下は一般的な住居形態となりました。

住環境の実態

半地下はいくつかの問題を抱えています。まず日光がほとんど入らず、暗く蒸し暑い環境が一般的です。また湿度が高いため、カビの発生が懸念されます。物件によっては天井が非常に低く、住民が頭をぶつけないよう工夫が必要な場合もあるため、居住環境としては非常に劣悪と言えます。しかし、最近では改修が施された半地下物件も増え、一定の快適さを提供するものも見受けられます。

映画『パラサイト 半地下の家族』の影響

ポン・ジュノ監督による映画『パラサイト 半地下の家族』は、半地下の生活環境を描いた作品として国際的な注目を集めました。作品内では、半地下に住む家族の日常が描かれ、社会的格差を如実に伝えています。映画の影響で、半地下の存在は国外でも知られるようになり、その背後にある社会問題への認識が高まりました。

洪水による影響

2022年、ソウルでは集中豪雨が発生し、半地下物件が浸水するケースが相次ぎました。この自然災害により障害者を含む数人が命を落とす悲劇的な事件が発生し、ソウル市当局は新たな半地下住宅の建設を中止する方針を打ち出しました。また、既存の物件についても段階的に廃止することが検討されています。

韓国社会の階級構造

韓国では2008年に『不動産階級社会』という著作が発表され、住居による階級区分が再認識されました。その中で、最上級層から最下層までの6つの階級が存在するとされ、最貧困層には半地下や全地下に住む人々が位置づけられています。今後も韓国社会におけるホームレスや貧困問題は解決が求められ、多くの人々の関心が寄せられることでしょう。

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