半島振興法

半島振興法とは

半島振興法は、日本の特定の地域、特に半島地域における振興を目的とした法律です。これらの地域は、三方を海に囲まれ、平地が少なく、水資源が限られているなど、国土資源の利用において不利な条件を抱えています。そのため、産業基盤や生活環境の整備が他の地域に比べて遅れており、この状況を改善するために、特別な措置を講じる必要がありました。

この法律の目的は、半島地域において広域的かつ総合的な対策を実施することにより、これらの地域の振興を図り、住民の生活の質を向上させ、国土の均衡ある発展に貢献することです。法律は、単に地域を援助するだけでなく、国土全体のバランスを考慮に入れた開発を目指しています。

成立の背景

半島振興法の成立には、政治的な背景があります。1983年の衆議院議員選挙において、ある候補者が公約として半島振興を掲げたことがきっかけとなりました。この候補者は、それまで全国区選出だったため、選挙区における政策アピールの必要性から、この法律の構想を打ち出しました。しかし、当時の地域振興に関する法制度は自治体単位での対策にとどまっており、半島全体を包括的に捉えた振興策は前例がありませんでした。

また、当時の中曽根内閣は行財政改革を推進しており、新たな予算を伴う法案の成立は困難でした。官邸からは廃案の圧力もありましたが、自民党の有力議員の尽力により、1985年に法律は成立しました。この法律の成立は、単なる地域振興にとどまらず、国土開発というより大きな視点に立って、地域を活性化させようとする試みであったと言えるでしょう。

法律の内容

地域指定

半島振興法では、以下の三つの要件を満たす地域が「半島振興対策実施地域」として指定されます。

1. 二つ以上の市町村から構成され、一定の社会的経済的規模を持つ地域。
2. 高速道路や空港などの公共施設の整備が他の地域に比べて遅れている地域。
3. 産業開発が低く、雇用を増やすために企業誘致などの措置が必要な地域。

これらの地域指定は、都道府県知事の申請に基づき、国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣が協議し、国土審議会の意見を聞いた上で決定されます。また、指定された地域は官報で公示されます。

半島振興計画の作成

指定された地域では、都道府県知事が関係市町村長と協議し、半島振興計画を作成します。この計画には、以下の項目が含まれます。

振興の基本方針
交通施設（道路、港湾、空港など）の整備
産業（農林水産業、商工業など）の振興と観光開発
水資源の開発と利用
生活環境の整備
高齢者福祉の増進
教育文化の振興
その他、半島振興に必要な事項

この計画は、国土交通大臣、総務大臣、農林水産大臣の同意を得る必要があり、国土審議会の意見も考慮されます。また、国土総合開発計画など他の地域振興計画との調和も求められます。

計画に基づく事業の実施

半島振興計画は、国、地方公共団体、その他の関係者が実施します。実施にあたっては、以下の点が考慮されます。

国の財政支援
地方債に関する配慮
企業への資金支援
道路、港湾、空港などのインフラ整備
情報通信網の整備
高齢者福祉の増進
地域文化の振興
税制上の措置

これらの措置を通じて、半島地域の振興が促進されることが期待されます。

半島振興対策実施地域一覧

2022年4月1日時点で、全国で23地域、80市94町18村が半島振興対策実施地域に指定されています。和歌山県のように県全体が半島の一部を構成している地域では、大部分の市町村が対象となっています。

関連情報

この法律は、過疎地域対策や山村振興など、他の地域振興政策とも関連があります。

半島
過疎
山村振興法
過疎地域自立促進特別措置法

外部リンク

半島振興法　e-Gov法令検索
地方振興：5 半島振興対策の推進 - 国土交通省
* 半島の宝物（国土交通省半島振興室）

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