半鐘

半鐘（はんしょう）

半鐘とは、小型の釣鐘のことで、主に江戸時代に火の見櫓などに設置され、火災や洪水などの災害時に地域住民へ危険を知らせる警鐘として使用されました。

概要

元々は寺院で時刻を知らせるために使われていたものが、災害時の警報や合戦時の合図にも用いられるようになりました。江戸時代には、災害の種類や場所を鐘の打ち方で伝える工夫もされていました。

明治時代以降も使われ続けましたが、現在ではサイレンや防災行政無線にその役割を譲り、地域のシンボルとして残されていることが多いです。しかし、東海地震の警戒宣言や大津波警報発令時には、依然として半鐘が使用される場合があります。

2019年の令和元年東日本台風の際には、堤防決壊の危機を知らせるために、消防団員が危険を冒して半鐘を鳴らした事例もあります。

火災現場近くの半鐘は、火元を示すために乱打されます。これは「擦半鐘（すりばんしょう）」、略して「スリバン」と呼ばれます。また、鎮火の際には2点連打がされ、この音を「おじゃん」と呼び、物事が無駄になることを意味する「おじゃんになる」の語源になったという説があります。

鐘の打ち方は各府県令で定められており、例えば東京市と東京府では、以下のように警鐘による信号が定められていました。

火災：三ツ切
盗賊：四ツ切
風水害：五ツ切

「交打」は「斑打」とも呼ばれます。

競輪では、残り1周半から最後の1周にかけて半鐘（ベル型や銅鑼の場合もあります）が鳴らされ、選手や観客に最終周回を知らせます。これは「打鐘（だしょう）」と呼ばれ、競輪用語では「ジャンが鳴る」と言います。

盗難

2006年から2007年前後、国際的な金属価格の高騰により、日本各地で金属製品の盗難が多発しました。半鐘もその例外ではなく、盗難被害に遭い、スクラップとして中国へ輸出されるケースも見られました。

関連項目

梵鐘
火の見櫓
半鐘蔓

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