卍山道白

卍山道白について

卍山道白（まんざんどうはく）は、江戸時代初期の曹洞宗の僧侶であり、宗教界に多大な影響を与えた人物です。彼の本名は道白、号は復古道人で、卍山禅師や復古和尚とも称されています。道白は特に宗派の規律や教義の整理に力を注ぎ、曹洞宗の発展に寄与しました。

生い立ち

彼は備後国（現在の広島県）で生まれ、藤井氏という姓を持ちます。7歳の時に父親の玄秋が亡くなり、田総の照山和尚に預けられ、五雲山龍興寺で修行を始めました。1645年、照山和尚が亡くなると、道白は一線道播に得度を受け、剃髪して道白と名付けられました。

江戸時代の活動

16歳の時、一線和尚に同行して江戸へ向かいました。江戸では高秀寺で参禅し、その後、雲堂寺に移ります。1655年には海蔵寺に移り、寺の再建にも尽力しました。1661年には万頂山集福寺に移り、宗務を務めるようになります。さらに、月舟宗胡の下で参禅し、その教えを継承しました。

宗派の刷新

1680年、道白は加賀国の大乗寺の住職に就任し、宗胡や面山瑞方と共に曹洞宗の教義の復興に努めました。道白は、宗祖道元が重視した一師印証の法統を正統とすべきであると主張し、曹洞宗の宗規を見直す運動を展開しました。この活動は寺社奉行を動かし、永平寺法度や總持寺法度の制定といった成果をもたらしました。

彼はまた、隠元隆琦の『黄檗清規』を参考にして、宗派内の乱れた規律を整理し、道白が住職を務める大乗寺は厳格な規矩で知られるようになりました。このことから、「規矩大乗」と呼ばれるようになりました。

元禄2年（1689年）には、永平寺住職の晃全が道白に顧問を依頼するなど、教義の刷新は徐々に宗派内に浸透し始めました。しかし、彼の活動には批判もあり、天桂伝尊などの一部の僧侶は、道白らの形式主義的なアプローチを批判しました。この論争は曹洞宗内における宗学研究や宗典の出版を活性化するきっかけとなりました。

遺業と晩年

道白は大乗寺において祖師道元の『正法眼蔵』を編纂し、卍山本として後世に残しています。最終的には大乗寺を明州の珠心に譲り、摂津国の興禅寺に隠棲しました。その後、元禄7年には京都府山城国の古刹源光庵を復興し、曹洞宗に改宗しました。

道白の名声は広まり、霊元法皇が彼に問法を求めて招請したものの、道白は病を理由に辞退しました。この際、法皇は道白に手土産として綿を下賜したと伝えられています。

道白は1715年、80歳でその生涯を閉じました。彼の努力は曹洞宗における規範の回復に貢献し、その影響は現在に至るまで続いています。

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