卒族

卒族（そつぞく）について

卒族とは、明治時代初期に導入された日本の身分呼称の一つです。この言葉は、特に明治時代には武士身分を有しない下級の家臣たちを指す際に用いられました。江戸時代には、藩によって「同心」や「足軽」として知られ、武家社会の下層に位置する人々でした。

概要

卒族は、明治新政府が1870年に一律に用いるようになった呼称です。しかし、この呼称はわずか2年後の1872年には廃止されました。卒族があった時代、彼らの身分は基本的に世襲されていましたが、廃止の際にはそれまでの卒族は士族または平民に分類されました。具体的には、頭目や世襲制の中で身分を持っていた者たちは「士族」とされ、代々の家臣であった者は「平民」に編入されました。

このように、卒族の扱いは明治政府の新しい社会制度の中で大きく変わったわけです。1850年代から1860年代にかけて、日本は激動の時代を迎え、社会制度の刷新が求められましたが、その一環として身分制度も見直されました。

壬申戸籍との関係

卒族の廃止に伴い、1872年の新しい戸籍制度がスタートしました。この戸籍は「壬申戸籍」と呼ばれ、干支の「壬申」に由来しています。この戸籍によって、国民の身分が整理され、特に新たに士族や平民とされた人々の身分が明確化されました。壬申戸籍は日本の近代的な国民登録の基礎を築く重要な一歩だったといえます。

関連項目

卒族は、日本の近代史における身分制度の変遷を理解する上で欠かせないトピックです。卒族に関連する他の身分呼称や制度には、華族、士族、そして平民があります。これらは、特に明治維新以後、国民平等を促進する上で重要な役割を果たしています。

「四民平等」の理念のもと、武士身分を持っていた者たちやその家族も新たな社会制度の一部として再編成されたのです。また、秩禄処分という政策も、武士たちの身分や待遇を見直すために実施されました。こうした改革により、卒族を含むさまざまな身分が整理され、近代の日本社会が形成されていきました。

卒族は、ただ単に称号として存在していたわけではなく、明治時代の社会の変革において、その変遷と廃止の背景にある政治的、社会的な動きに深く関わっていたことがわかります。

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