南へ行こう

トムとジェリー：南へ行こう

1955年3月12日に公開された『南へ行こう』(Southbound Duckling)は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラ監督によるトムとジェリーの短編アニメーション作品です。冬の陽だまりの中、ジェリーは、自分が渡り鳥だと勘違いしたアヒルに出会います。南へ渡るカモを見て、自分も南へ行くべきだと決めたアヒルは、ジェリーの説得にも耳を貸しません。

ジェリーは図鑑を見せ、野生のカモが冬に備えて南へ渡ることを説明しますが、アヒルの南への強い意志は揺るぎません。アヒルは、飛行を試みるも失敗を繰り返し、その姿は滑稽でユーモラスです。

そこに、アヒルを捕まえて料理しようと企むトムが登場します。ジェリーは、食べられそうになったアヒルを助けるため、彼の南への旅を手伝うことになります。最初は風船とバスケットを使った「気球」でアヒルを空に飛ばそうとしますが、トムの猟銃によって気球は破裂。アヒルは落下してしまいます。

危機一髪の場面で、ジェリーはトムからアヒルを救い出し、二人は近くの飛行場へ逃げ込みます。運良く、二人はフロリダ州マイアミ行きの飛行機に乗り込み、念願の南国への旅を始めるのです。

マイアミビーチに到着したジェリーとアヒルは、南国でのバカンスを満喫します。アヒルはトムをうまく出し抜いたと喜びますが、その背後には飛行機の車輪にしがみついて密航してきたトムの姿が…。トムは、アヒルとジェリーをバケツに閉じ込め、傘で隠して捕らえます。本作は、数少ないトムが勝利する作品の一つです。

登場人物

トム: アヒルを捕まえようとしますが、ジェリーに妨害され、最終的にマイアミ行きの飛行機に密航。アヒルとジェリーを捕まえます。
ジェリー: トムからアヒルを助け、南への旅を手伝います。しかし、最後はトムに捕まってしまいます。
* アヒル: 渡り鳥だと勘違いし、南へ行くことを決意。トムに食べられそうになりますが、ジェリーの助けでマイアミへ行き、一時的にバカンスを楽しみますが、最終的にはトムに捕まってしまいます。

作品の特徴

本作では、ラストシーンでトムがアヒルとジェリーをバケツに閉じ込め、傘で隠した際に「The End」の文字が浮かび上がる独自の演出が用いられています。この演出は、トムの勝利を強調し、ユーモラスな終わり方となっています。

日本での放映

『南へ行こう』は、TBS系および他系列で1964年から1990年頃まで、時折放映されました。現在ではDVDにも収録されています。

この作品は、トムとジェリーの定番のユーモラスな追いかけっこに加え、アヒルのコミカルな行動や、予想外の結末が魅力的な、見どころ満載の作品です。トムとジェリーの息の合ったやり取り、そしてアヒルの南への強い思いが織りなす、忘れられない短編アニメーションとなっています。

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