南九州サンクス

南九州サンクス株式会社

南九州サンクス株式会社は、鹿児島県鹿児島市に本社を置き、かつてコンビニエンスストア「サンクス」のエリアフランチャイズ本部として、鹿児島県と熊本県で店舗を展開していました。サークルKサンクスとの契約に基づき、両県における「サンクス」店舗の運営や開発、経営指導、バックアップ業務を担っていましたが、2013年8月21日をもってローソンの完全子会社（ローソン南九州、ローソン熊本）へコンビニエンスストア事業を譲渡し、会社自体は清算されました。

設立と事業展開

同社は1998年8月11日に設立されました。これは、鹿児島を拠点とする総合商社である南国殖産株式会社が81%、そして当時株式会社サンクスアンドアソシエイツが19%を出資した共同事業でした。設立同日の8月21日にはエリアフランチャイズ契約を締結。翌1999年5月22日に、記念すべき九州第1号店となる西鹿児島駅前店を鹿児島市に開店し、事業を開始しました。その後、2004年5月29日には熊本県への出店も開始し、徐々に店舗網を広げました。

2013年3月時点では、鹿児島県に85店舗、熊本県に27店舗の合計112店舗を展開していました。なお、サークルKサンクスとの契約エリアには宮崎県も含まれていましたが、日配品の物流インフラ整備が困難だったため、実際に出店することはありませんでした。

独自の取り組み

南九州サンクスは、地域に根ざした独自のサービスも展開していました。2007年時点の情報によると、以下のような取り組みが行われていました。

鹿児島市内の一部の店舗では、ICカード乗車券「RapiCa」の販売を行っていました（ただし店舗でのチャージは不可）。
鹿児島市内の一部の店舗では鹿児島市共通商品券の販売を実施し、市内の全ての店舗でその利用も可能でした。
鹿児島県と熊本県の一部店舗には、店内に飲食スペースを備えた「サンクスカフェ」を展開していました。

経営不振と事業譲渡への経緯

2011年に大手コンビニエンスストアであるセブン-イレブンが鹿児島県に進出したことを契機に、同県内のコンビニ市場における競争は急速に激化しました。このような状況下で、南九州サンクスは加盟店オーナーに対して具体的な対抗策を示すことができず、業績が悪化する店舗が目立つようになりました。2013年時点での店舗数を比較すると、ローソンが119店舗、ファミリーマート（南九州ファミリーマート運営）が220店舗、セブン-イレブンが113店舗と、他社が多数の店舗を展開しているのに対し、サンクスは85店舗にとどまっていました。

業績面でも厳しい状況が続きました。2012年度の売上高は147億5,700万円で、前年度比10.2%の減少を記録し、鹿児島県内の企業売上高ランキングでも38位にとどまりました。一方、南九州ファミリーマートは前年度比1.4%減ながらも524億9,700万円の売上を計上しており、南九州サンクスの苦戦が浮き彫りとなりました。

こうした状況を踏まえ、同社は2013年5月、同年8月20日に満了を迎える15年間のエリアフランチャイズ契約を更新せず、鹿児島県と熊本県の全112店舗をローソンに事業譲渡することを決定しました。同月のオーナー向け説明会では、新たに設立されるローソンの子会社である「ローソン南九州」（鹿児島県）と「ローソン熊本」（熊本県）へ事業を移管し、南九州サンクスは会社を清算する方針が示されました。この決定は、同年6月25日の株主総会で正式に承認されました。

南九州サンクスの店舗は、同社が建物を借り上げてオーナーに経営を委託する形態が多く、他の地域（旧・サンクス東四国など）とは異なり、一部店舗がサンクスとして営業を継続することは難しいとみられていました。しかし、一部のオーナーはローソンへの転換に難色を示し、サンクスとしての営業継続を希望する声もありました。最終的に、南九州サンクスは2013年8月12日に、サークルKサンクス側と同年8月20日をもってフランチャイズ契約を終了することで合意したと発表しました。これにより、同日午前中までに、鹿児島県と熊本県の全サンクス店舗が閉店することになりました。

閉店した店舗は順次改装され、8月21日以降に「ローソン」として再オープンしました。南九州サンクスの112店舗のうち、106店舗がローソンへ転換されましたが、6店舗（鹿児島県3店舗、熊本県3店舗）はローソンに鞍替えせずそのまま閉店しました。この事業譲渡により、鹿児島県と熊本県から「サンクス」ブランドの店舗は一旦消滅しました。サークルKサンクス本部は両県への再出店について未定としていましたが、結局再進出することなく、残存していたサークルKサンクス店舗がファミリーマートへの転換や閉店を経て、2018年11月30日をもって「サークルK」「サンクス」の店舗ブランド自体が消滅しました。

事業を引き継いだローソン熊本は、2014年3月1日にローソン本社に吸収合併されました。一方、ローソン南九州は、同年中に南国殖産が株式の51%を取得し、同社の子会社となっています。

沿革（主要な出来事）

1998年8月11日 - 南九州サンクス株式会社設立。
1999年5月22日 - 九州第1号店となる西鹿児島駅前店を開店。
2004年5月29日 - 熊本県への出店を開始。
2013年5月17日 - ローソンの完全子会社として、ローソン南九州とローソン熊本が設立される。
2013年6月25日 - 株主総会にて、コンビニエンスストア事業をローソン南九州とローソン熊本へ引き継ぐことが承認される。
2013年8月20日 - サークルKサンクスとのエリアフランチャイズ契約が満了。両県の全サンクス店舗が閉店。
2013年8月21日 - ローソン南九州・ローソン熊本へ事業譲渡。一部店舗が「ローソン」として開店。
2013年9月30日 - 会社解散。
2014年9月25日 - 清算結了。

事業所

本社（鹿児島市中央町）
熊本エリア本部（熊本市中央区水前寺）

特徴的な店舗：東千石店

鹿児島市にあった東千石店は、看板の赤色をステンレスシルバーにするなど、一般的なサンクス店舗とは異なる外観を持ち、イートインスペースやコイン式パソコンスペースを備えていました。また、南日本銀行のATMも併設されていました。この店舗は2013年7月16日に閉店しましたが、同年8月21日に「ローソン鹿児島東千石店」として改装オープンしました（コイン式パソコンは撤去）。

コラボレーション

南九州サンクスは、鹿児島県のローカルヒーローである「薩摩剣士隼人」のスポンサーを2013年初頭まで務めていました。2012年4月には、コラボレーション企画として「薩摩剣士隼人弁当」や「トモダッチおすし弁当」といった関連商品も販売されていました。

補足事項

エリアフランチャイズ契約が満了するまで、同社はかつて日本で最も西、そして最も南に位置するサークルKサンクス店舗の運営に関わっていました。具体的には、旧サンクス川内湯田店（現在のローソン川内湯田店）が最西端、旧サンクス鹿屋大姶良店（ローソン転換後閉店）が最南端の店舗でした。

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