南九戸郡

南九戸郡：岩手県の歴史を彩った郡

南九戸郡は、かつて岩手県に存在した郡です。現在の久慈市と野田村の大部分をその区域としていました。明治時代初期の行政区分再編の中で誕生し、その後、合併を経て消滅するまでの歴史は、岩手県の地方行政変遷を理解する上で重要な事例となっています。

南九戸郡の成立と区域

1879年（明治12年）、それまでの九戸郡が分割され、南九戸郡が誕生しました。当初、南九戸郡は27の村を管轄下に置いていました。これらの村々は、現在の久慈市と野田村に相当する地域に位置していました。具体的には、大川目村をはじめ、霜畑村、小国村、日野沢村など、多くの村々が含まれていました。南九戸郡役所の設置場所は、大川目村に定められました。

行政区分の変遷と合併

南九戸郡発足後も、行政区域の変更は継続的に行われました。1880年（明治13年）には、北九戸郡役所の廃止に伴い、南九戸郡役所は南北九戸役所へと統合・改編されました。その後、1884年（明治17年）には大川目村が上大川目村と下大川目村に分村し、郡を構成する村の数は28となりました。


1889年（明治22年）の町村制施行により、南九戸郡の行政区分は大きく変化しました。それまでの多くの村々は合併し、久慈町、長内村、宇部村、野田村、山根村、山形村、大川目村、夏井村の1町7村が成立しました。この再編によって、郡の行政運営はより効率的なものになったと推測できます。

廃止と九戸郡への統合

南九戸郡は、1897年（明治30年）に廃止されました。南九戸郡と北九戸郡は統合され、新たな九戸郡が成立しました。この合併により、岩手県北部の行政区分は簡素化され、地方行政の効率化が図られました。

歴代郡長と参考文献

南九戸郡の行政を担った歴代郡長に関する情報は、残念ながら現時点では詳細な記録を発見できていません。今後の調査が必要となります。

南九戸郡の歴史を知る上で参考となる文献としては、『角川日本地名大辞典』3巻（岩手県）や、『九戸郡誌』（復刻版）が挙げられます。これらの文献には、南九戸郡の成立から廃止までの詳細な経緯や、当時の社会状況などが記録されています。

まとめ

南九戸郡は、明治時代における岩手県北部の地方行政において重要な役割を担った郡でした。その成立、行政区分の変遷、そして廃止に至るまでの歴史は、地域の変遷を理解する上で欠かせない要素です。残された史料を元に、更なる研究が進むことで、南九戸郡の歴史的意義は更に明らかになるでしょう。

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