南京町 (神戸市)

南京町（ナンキンまち）

南京町は、兵庫県神戸市中央区に位置し、元町通と栄町通の間に広がるエリアです。この地域は、中国文化の特色を色濃く反映した中華街として知られています。商業的には南京町商店街振興組合の登録商標でもあり、観光名所としても人気のスポットです。

概要

南京町には約100店舗が軒を連ね、中には点心や中華菓子、各種食材や記念品を扱う店舗が多くあります。特に週末には、地元の住民だけでなく観光客も詰めかけ、賑やかな雰囲気を醸し出します。「南京町」という名称は、元々中国人街の一般的な名称でしたが、現在ではここ神戸にのみ関連した固有名詞として認識されています。

中央通りには十字路があり、中心には「あずまや」と称される広場が広がり、東には「長安門」、西には「西安門」、南には「海栄門」という名の門が立ち並びます。北側は元町商店街とつながっており、午前10時頃から開店する店舗が多いものの、午前11時までは納品車両が行き交うため、活気ある商業区域となります。夜になると「長安門」や「あずまや」がライトアップされ、ロマンチックな雰囲気が漂います。

南京町と華僑の関係

神戸に住む華僑は約1万人を超えており、横浜の華僑の倍近いとされていますが、神戸南京町は横浜中華街に比べると規模が小さいです。南京町はほぼ商業エリアであるため、居住者は少なく、神戸の華僑は山手地域に分散して住んでいます。神戸には、関帝廟や中華同文学校といった華僑に関連する施設が存在しますが、生活拠点は別の地域にあります。

神戸では、華僑の人々が日本人社会と良好な関係を構築してきたことは、民族的かつ文化的な観点からも重要な点です。古くはビジネスに成功した者も多く、華僑は商売上手で裕福な人々として知られていました。そのため、他の地域に比べて日本人との対立が少なかったのです。この良好な関係は、戦後に「南京町」という名称が変更されず、そのまま受け継がれていることにも表れています。

近年、春節祭（旧正月）をはじめとする行事には、多くの日本人や観光客が参加し、南京町は神戸の重要なイベントとして定着しています。また、中国の経済発展に伴い、華僑子弟だけでなく日本人の子供たちも神戸中華同文学校への入学希望者が増えるなど、文化交流が活発に行われています。

歴史的背景

1868年に神戸港が開港してから、華僑は居留地に住めず、南京町周辺に住むようになったとされています。初めは港湾関係者が多かったものの、徐々に多様な商業活動が行われる場所へと発展していきました。戦前には華僑と日本人商人の共同組合も設立され、市場としての賑わいを持つようになりましたが、日中戦争や神戸大空襲により、多くの華僑が減少しました。

戦後、南京町は連合軍相手の歓楽街として復興し、長らく退廃化が進んでいましたが、1970年代から神戸市の支援を受けた復興整備計画が進められ、観光地としての魅力を取り戻しました。1980年代には徐々に華やかさを増し、現在のような観光名所として多くの観光客が訪れるようになりました。特に、1995年の阪神淡路大震災以降は、軽食のテイクアウトが人気となり、南京町の新しい名物となりました。

主な行事と名物

南京町では春節祭をはじめ、興隆春風祭や中秋節、ランターンフェアーなどの行事が行われています。地域の名物としては、割包、コロッケ、叉焼、中華まん（豚まん）、中国茶、饅頭、ラーメン、焼鶏（しょうけい）などが人気です。

交通アクセス

南京町には、JR神戸線、阪神本線、神戸高速線の元町駅から徒歩でアクセスすることができます。また、神戸市営地下鉄海岸線の旧居留地・大丸前駅やみなと元町駅も近く、便利な立地です。

近隣の文化施設

南京町周辺には、旧神戸外国人居留地や神戸ドールミュージアム、神戸市立博物館など、多くの文化的な施設が立ち並び、訪れる人々にとって多彩な楽しみを提供しています。

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