南人 (李氏朝鮮)

南人の歴史と背景

南人（ナミン）は、李氏朝鮮時代の士林派に属する党派であり、彼らの成立は政治的な動きの一環として捉えられます。特に、朝鮮の宣祖時代における東人の分裂から生まれました。このころ、李氏朝鮮の政治は東人（トンイン）に支配されていましたが、1589年に鄭汝立が反乱を企てるも失敗し、これが政治の激動を促しました。

東人の分裂

1580年代後半、政権を担っていた東人は、鄭澈を中心とする西人と対立を強めていました。鄭澈が光海君の世子冊封を提案した際、東人からの密告によって左遷され、これが勢力の流動化を引き起こしました。その後、鄭澈を処刑すべきだとの意見が分かれ、穏健的な主張をする禹性伝を中心とした南人と、強硬な姿勢を取る李山海を囲む北人に分党されました。

「南人」の名称は、柳成龍が南方出身であったり、禹性伝の拠点が南方にあったことに由来しています。南人は鄭澈に対する処罰として流刑を主張し、政権を徐々に掌握していきましたが、豊臣秀吉の朝鮮出兵によって柳成龍が罷免され、北人が権力を奪取します。

政権の変遷

豊臣秀吉の出兵以降、北人が政権を保持する中で、世子冊封問題において大北と小北に分裂し、南人は引き続き下野を余儀なくされます。しかし、1623年に仁祖反正が起こると、北人の権力は崩壊し、西人が台頭してきました。このころの南人は依然として下野の状態でしたが、顕宗の即位後、許穆が西人に対抗する機会を伺います。

荘烈王后の服喪期間を巡る debates では、南人が主張する3年喪を西人が否定し、結果的に南人は政権に復帰するのですが、彼らはその後も西人との対立が続きます。

換局と南人の没落

顕宗の死後、次代の国王粛宗が即位すると、南人と西人が政権を巡る動きが活発化しました。最初に南人が政権を握るものの、金錫冑は西人と結託して南人を排除します。続けて三福の変が起こり、南人の多くが粛清され、政権は西人の手に戻ります。

その後、南人は政権奪還を試みますが、粛宗の寵愛を受ける张氏が出産し、南人が政権に復帰する機会を持ちます。だが、残念ながらその後、権力の構図が変わり、南人は完全に失脚します。彼らの権力はその後、外戚が台頭し、朋党による政権は事実上終焉を迎えることとなります。

思想と行動規範

南人の政治理念は儒教の性理学を基盤としていました。17世紀には実学の発展を図り、18世紀にはキリスト教を受容する動きが見られましたが、その受容は後に弾圧を受け、多くの南人が殺害される事態に至ります。このように、南人は李氏朝鮮の歴史における重要な勢力であり、彼らの思想や行動は朝鮮の政治動向に大きな影響を及ぼしました。

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