南伊勢線

南伊勢線について

南伊勢線（みなみいせせん）は、未成線として計画されていた鉄道路線で、国鉄伊勢線と伊勢市駅を結ぶ構想がありました。この路線は主に「国鉄南伊勢線」として知られていますが、かつては「臨海線」とも呼ばれていました。計画によると、津市高茶屋から四日市、津を経由して伊勢市駅まで、約35kmの区間で鉄道路線が構築される予定でした。これは鉄道敷設法に基づく、国の公式な予定線として位置づけられていました。

構想の背景

1962年4月、運輸省の衆議院・参議院運輸委員会において、南伊勢線の必要性が強調されました。この地域には近畿日本鉄道がほぼ平行して営業を行っていたため、狭軌である国鉄との貨車の受け渡しが不可能になり、地域の貨物営業が廃止される事態となりました。このため、工業地帯への輸送手段の確保が喫緊の課題となり、南伊勢線はそれを解決する重要な路線として期待されていました。

沿革と進展

南伊勢線は1962年に鉄道建設審議会での承認を受けて予定線に編入されました。同じ年には、津市、松阪市、伊勢市などの地方自治体が協力して「国鉄南伊勢線建設促進期成同盟会」を結成し、早期着工を目指しました。しかし、地域の工業開発は四日市で発生した大気汚染問題に対する強い反対に直面し、第1次オイルショックが加わることで、南伊勢線の建設計画は次第に頓挫していきます。この事態は、後に伊勢線の利用者数が減少し、特定地方交通線への転換を促す要因となりました。

年表

• - 1962年3月28日、29日: 東京での鉄道建設審議会において、南伊勢線が予定線に編入される。
• - 1962年5月12日: 鉄道敷設法別表に南伊勢線が追加され、法的根拠が確立される。
• - 1962年6月5日: 松阪市にて国鉄南伊勢線建設促進期成同盟会が発足。
• - 1967年11月24日: 國鉄南島線新設促進期成同盟会と合同で、早期建設促進大会を伊勢市で開催。
• - 1987年4月1日: 鉄道敷設法が廃止され、南伊勢線の建設に必要な法的基盤が消失。

参考文献

この計画に関する詳細な資料は、国立国会図書館の日本法令索引や三重県史、伊勢年鑑などに記されています。また、地域の新聞でも当時の状況が詳細に報じられています。

関連項目

南伊勢線に関連する路線として、近鉄伊勢線が挙げられます。これは江戸橋駅から新松阪駅まで、国鉄線よりも海岸沿いを経由していた区間でした。南伊勢線の計画が立てられる前年の1961年には、すでに廃止されていましたが、その存続の歴史も、両者の関係において重要です。

もう一度検索