南北基本合意書

南北基本合意書は、1991年12月13日に大韓民国（韓国）と朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の間で締結され、1992年2月19日に発効した、朝鮮半島の南北対話に関する重要な合意文書です。正式名称は「南北間の和解と不可侵および交流、協力に関する合意書」ですが、一般的には「南北基本合意書」として知られています。

背景

1972年の南北共同声明以降、両国間の対話は断続的に行われていましたが、ポプラ事件やラングーン事件、大韓航空機爆破事件などの影響で、しばしば中断を余儀なくされていました。南北の経済格差が拡大する中、1980年代には北朝鮮の金日成主席（当時）が赤化統一を目指す高麗民主連邦共和国構想を提唱しました。

1988年に韓国で民主化が実現し、盧泰愚大統領が就任すると、彼は北朝鮮との関係改善に積極的な姿勢を示しました。同年7月7日には「民族自尊と繁栄のための大統領特別宣言」（7・7宣言）を発表し、北朝鮮に対して敵対関係の清算を呼びかけました。1989年の東欧革命や冷戦終結といった国際的な潮流も、盧大統領の対北朝鮮政策を後押ししました。

合意書締結

このような状況下で、1990年9月にはソウルで南北首相会談が実現しました。その後も、平壌やソウルで会談が重ねられ、1991年12月にはソウルで開催された第5回南北首相会談で、南北基本合意書が締結されました。合意書では、1972年の南北共同声明にある祖国平和統一の3大原則（自主、平和、民族大団結）を再確認し、南北の和解、不可侵、交流・協力について全25条の合意がなされました。

その後

しかし、1996年の江陵浸透事件など、両国間の対立は解消されることはなく、北朝鮮の核問題も国際的な懸念事項となりました。そのため、南北基本合意書の合意事項が十分に生かされない状況が続いています。1998年に韓国の大統領に就任した金大中氏は、「太陽政策」を掲げて南北関係の改善をさらに推進し、2000年6月には南北首脳会談を実現させ、金正日国防委員長との間で6.15南北共同宣言を締結しました。

南北基本合意書は、朝鮮半島の平和と統一に向けて重要な一歩を踏み出したものの、その後の情勢の変化により、その意義が十分に発揮されているとは言えない現状があります。しかし、この合意が目指した平和共存への願いは、今もなお重要な意味を持ち続けています。

関連情報

朝鮮統一問題：朝鮮半島の統一に関する複雑な歴史的、政治的な問題。
南北共同声明 (1972年)：南北間の対話の第一歩となった重要な合意。
6.15南北共同宣言 (2000年)：南北首脳会談で合意された、和解と協力の促進に関する宣言。

外部リンク

日本外務省『外交青書』：第3章　各地域の情勢と日本との関係 第1節　アジア・太平洋の2項の朝鮮半島情勢に基本合意書も含めた南北朝鮮関係について記載があります。
KBS9時ニュース（韓国語）（1991年12月13日）：当時のニュース報道
MBCニュースデスク（韓国語）（1991年12月13日）：当時のニュース報道

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