南呂院

南呂院（なんりょいん）は、生没年不詳の戦国時代の女性です。常陸国の戦国大名である佐竹義昭の娘として生まれました。後に下野国の戦国大名である宇都宮広綱に嫁ぎ、宇都宮国綱と結城朝勝という二人の息子をもうけました。夫である広綱の死後、南呂院と称するようになりました。


天正4年（1576年）または天正8年（1580年）に夫である宇都宮広綱が死去した際、嫡男である宇都宮国綱はまだ幼少であったため、南呂院は実兄である佐竹義重と共に、国綱の後見人として宇都宮氏の政務を担いました。この時期、宇都宮氏の家臣であった壬生義雄や皆川広勝による内乱が活発化し、家中は混乱状態にありました。


南呂院は、国綱を支えながら、これらの内乱を鎮めるために奔走しました。彼女は、佐竹氏の血筋を引く知性と、女性ながらも強い意志を持って、宇都宮氏の家政を立て直そうとしました。しかし、内乱は激化の一途をたどり、南呂院の尽力も虚しく、宇都宮氏は衰退へと向かいました。彼女の詳しい事績については、資料が限られているため不明な点が多いですが、戦国時代という激動の時代を生き抜いた女性として、その名は歴史に刻まれています。


南呂院は、宇都宮氏の当主が幼い時期に、実家の佐竹氏の支援を受けつつ、家中の安定化に尽力したと推測されます。また、息子の宇都宮国綱は、成長後も南呂院の教えを大切にし、宇都宮氏の復興を目指しました。彼女の存在は、戦国時代の女性が、単に家を守るだけでなく、政治や外交にも大きな影響力を持っていたことを示す好例と言えるでしょう。


南呂院に関する情報は、歴史資料が少ないため、不明な部分が多いです。しかし、彼女が宇都宮氏の歴史において重要な役割を果たしたことは、間違いありません。戦乱の時代にあって、一人の女性がどのように生きたか、南呂院の生涯は、歴史を学ぶ上で貴重な教訓を与えてくれます。

参考文献
益子町史編さん委員会 編『益子町史』 第二巻《古代・中世史料編》、益子町、1985年3月31日。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9644393。 (要登録)

外部リンク
デジタル版 日本人名大辞典+Plus『南呂院』 - コトバンク

もう一度検索