南小島

南小島（みなみこじま）

南小島は、東シナ海に位置する尖閣諸島を構成する無人島の一つです。日本政府は沖縄県石垣市の一部として行政区分を定め、実効支配していますが、中華人民共和国および中華民国もこの島の領有権を主張しており、国際的に関心が寄せられています。かつては「鳥島」とも呼ばれていました。

地理と地形

南小島は、尖閣諸島の主島である魚釣島の南東約165キロメートルの方向に位置しています。地理的には、沖縄県の石垣島からは北西へ約165キロメートル、同じく西表島からは北へ約160キロメートルの距離にあります。島はおよそ楕円形をしており、二つの尖った岩場と、その間に広がる隆起サンゴ礁で形成された平地が特徴です。北に位置する北小島とは「イソナの瀬戸」と呼ばれる水道を隔てて隣り合っており、対をなすように存在しています。石垣市土地台帳に基づく正確な面積は0.324628平方キロメートルで、島内の最も高い地点の標高は149メートルです。

所有と行政

南小島は長らく個人の所有地でした。2002年からは日本政府が年額188万円でその土地を賃借し、管理を行っていました。しかし、所有権をより明確にするため、2012年9月11日には日本政府が、隣接する魚釣島、北小島と共に、埼玉県に居住する地権者から総額20億5千万円でこれらの島々を買い取りました。これにより、南小島の所有権は正式に日本国へ移転する登記が完了しました。日本の行政区分上は、沖縄県石垣市登野城尖閣2390番地に位置づけられています。島への上陸は厳しく制限されており、日本政府の正式な許可がなければ立ち入ることはできません。

島の特徴と生態系

島の南西部には、かつて人が居住し、鰹節の製造工場や海鳥の羽を加工する施設が運営されていた時期がありました。しかし、これらの事業が停止したことに伴い、島は無人となり、現在に至っています。南小島は、国際自然保護連合（IUCN）のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているアホウドリにとって、重要な繁殖地となっています。島の自然環境は貴重であり、その生態系を守るための保全が進められています。

歴史

南小島の歴史は、1895年1月14日に日本政府が閣議決定を経て正式に沖縄県へ編入したことに始まります。翌年の1896年には、実業家である古賀辰四郎氏が、南小島を含む尖閣諸島の複数の島を政府から30年間無償で借り受け、開拓事業に着手しました。無償貸与期間が終了した後も、貸与は有償で継続されました。1932年7月15日には、辰四郎氏の子である古賀善次氏に対し、南小島と北小島が有償で払い下げられ、古賀家の私有地となりました（魚釣島や久場島も同年中に払い下げられています）。

第二次世界大戦後、1946年2月2日からは北緯30度以南の地域がアメリカ軍の軍政下に置かれ、南小島もその管理下に組み込まれました。サンフランシスコ平和条約の発効に伴い、1952年4月28日からは琉球政府の施政権下に移りました。この琉球政府時代には、1968年に台湾人による南小島の不法占拠事件が発生するなど、領有権を巡る動きが見られ始めました。これに対し、琉球政府は1970年7月、尖閣諸島の主要な島々に対し、不法入域を警告する看板を設置する措置を取りました。

1972年5月15日の沖縄本土復帰により、南小島を含む尖閣諸島は再び日本の施政権下に戻されました。その後も無許可での上陸が試みられることがあり、2010年12月10日には石垣市の市議会議員2名が政府の許可なく南小島に上陸した事例が報告されています。そして、前述の通り、2012年9月11日に日本政府が地権者から島を買い上げ、国有地としたことは、所有権を明確化する上で重要な出来事でした。

南小島は、その静かな自然の中に重要な生態系を育みつつ、歴史的経緯や国際的な領有権問題が複雑に交錯する、現代における注目すべき島の一つと言えます。

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