南山区 (深圳市)

南山区：深圳の経済と歴史を牽引する地区

広東省深圳市に位置する南山区は、深圳湾に面した地理的優位性を活かし、香港、マカオ、珠海市への重要な玄関口として機能しています。歴史を紐解くと、先史時代には百越の地として存在し、秦代以降は南海郡番禺県、博羅県などに属していました。東晋時代には東官郡の中心地として発展し、南北朝、隋、唐、五代十国、宋、元、明、清と時代を経る中で、宝安県や新安県の一部として、その行政区分は変遷を繰り返しました。1700年近くにわたり宝安県の郡庁所在地が置かれていた歴史を持ちます。

1970年代後半までは主に農村地帯でしたが、1983年9月の南頭区設立、1984年8月の蛇口地区分離を経て、1990年9月に両地区が統合され、現在の南山区が成立しました。その後、国内からの大量移民の流入や都市開発により、近代的な都市へと変貌を遂げました。

経済発展：ハイテク産業の中心地

南山区の経済発展は目覚ましく、テンセント、ZTEなど中国を代表する大手ハイテク企業の本社が数多く集積しています。百貨店チェーンのレン・レン・ルも南山区に本社を置いています。科学技術公園やリウ・シェンドン工業団地など、大規模なハイテクパークの存在が、この地域のハイテク産業を支えています。

産業構造は多様化しており、電子、繊維、印刷、染色、港湾倉庫、不動産、電力、観光、食品、機械加工、バイオエンジニアリング、新素材など、幅広い分野を網羅しています。2015年の統計では、南山区には1641ものハイテク企業が立地し、深圳市の29.7％を占めていました。ハイテク産業の生産額は4152億元（約6兆円）に上り、特許出願件数も増加傾向にあります。

2018年には、「百強区ランキング」で全国一位を獲得するなど、その経済力は中国国内でもトップクラスです。2019年のGDPは6103.69億元（約9兆円）に達し、南山区成立以来30年間で78倍もの増加を遂げました。

交通と観光：便利なアクセスと豊かな自然

交通面では、深圳地下鉄2号線、5号線、9号線、11号線などが通っており、市内へのアクセスが良好です。観光スポットとしては、華僑城、深圳湾公園、深圳人材公園、中山公園、南頭古城などがあり、豊かな自然と歴史的な建造物を楽しむことができます。

医療体制：充実した医療機関

医療面では、深圳大学総医院、華中科技大学協和深圳医院（旧深圳市南山区人民医院）、深圳市南山区蛇口人民医院、深圳市南山区婦保健院、南方科技大学医院（旧深圳市南山区西麗人民医院）など、複数の医療機関が整備されており、地域住民の健康を支えています。

南山区は、歴史と経済発展を融合させた、中国を代表する魅力的な地域です。今後も、ハイテク産業を中核とした発展を続け、中国経済を牽引していくことが期待されます。

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