南島町

南島町（なんとうちょう）

南島町は、三重県度会郡にかつて存在した町で、伊勢志摩地域に位置しています。国道260号が町を東から西に貫通し、水産業と林業が主な産業として知られています。さらに、この地区は「奥志摩の秘境」とも称され、その自然の美しさが魅力の一つです。2005年10月1日、南勢町と合併し南伊勢町が設立されたことで、南島町は姿を消しました。

地理

南島町は三重県の中南部、旧伊勢国の南端に位置しています。東は南勢町、北は度会町、西は紀勢町、南は熊野灘に面しており、地形は険しく町の面積の92%が山地に覆われています。この地域の海岸は、断崖絶壁のリアス式海岸が特徴で、海に迫る山々は500〜700メートルの高さを持ち、急峻な斜面が続いています。

集落間の移動は峠やトンネルを通る必要があり、交通の不便さから昭和40年代までは「陸の孤島」と呼ばれていました。町内の漁村もこの地域独特の文化や生活様式を育んでおり、特に「浦」と名のつく地域は漁業が盛んです。

何ヶ所かの難読地名もあり、慥柄浦や贄浦など、訪れる人々には興味深い体験を提供しています。

歴史

南島町の歴史は古代にさかのぼります。縄文時代から弥生時代の遺跡が発見され、平安時代中期に記された文書にはこの地域の名称が見られます。南北朝時代には南朝に仕えた一族の伝説が残っています。江戸時代には紀州藩の一部となり、多くの漁村や小規模農村が点在していました。特に阿曾節という鰹節の生産が有名で、江戸時代中期には高級料亭で重宝されていました。

また、県内の漁民による原子力発電所建設反対運動は、この地域の歴史において重要な出来事でした。最終的に2005年に町は消滅し、現在は南伊勢町となっています。

町名の由来

町名である「南島」は、古代から南志摩と呼ばれていた地域に由来します。「南志摩」を当て字で「南島」と表記したことから、町の名前が名付けられました。

伝説

南島町には多くの伝説が伝わっており、特に「倭姫命の伝説」が有名です。彼女が滝原からこの地点を巡行する中、休息を取りながら自らの神体を奉じる道を見出したとされます。

また、南島八ヶ竃と呼ばれる平家落人伝説にまつわる集落があり、源平時代の逸話が今日まで伝わっています。

観光

南島町は1977年に伊勢志摩国立公園に編入され、美しい自然環境が訪れる人々に感動を与えています。釣りが人気で、特にイシダイが釣れるため、名古屋や大阪からの釣り客が多く訪れます。親子大橋などの観光名所や、悠久の時を刻む伝説に基づいた祭りも、地域の魅力の一つです。

教育と交通

かつては三重県立南伊勢高等学校南島校舎が存在しましたが、現在は廃校となっています。また、町内には鉄道路線が通っておらず、交通は国道260号とバスが主な手段でした。

南島町はその独特な地理と歴史的背景に彩られた地域であり、南伊勢町に合併されることにより新たな歴史が刻まれています。

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