南嶋人

南嶋人の歴史と交流

南嶋人（なんとうじん）とは、古代日本、特に南西諸島に住む人々を指す用語であり、主に『続日本紀』に登場します。この地域は、歴史的に日本本土との接点でもあり、南嶋人がどのように交流を持ったのかを理解することは、日本の古代史を知る上で重要です。

早期の記録

『日本書紀』によると、616年に南西からの使者が到来し、永住することになったという記載があります。この記録では、夜勾と掖玖という地域から選ばれた30名が、朴井に移住した様子が示されています。その後、629年には大和朝廷からの使者が掖玖に派遣され、704年にかけて彼らの交流が記録されています。671年には、倭馬飼部造連が大使として多禰島に送られており、その後も多くの南嶋人が朝廷に朝貢を行なったことが分かります。

行政区の設置

702年の記録では、薩摩や多褹の住民が命令に逆らい、大和朝廷からの征討を受けることになりました。このことは、薩摩国と多禰国が正式に設置されることを示唆しています。714年には、南嶋からの使者が陸奥や出羽の蝦夷とともに朝賀に参加し、その影響力の広がりを伺わせます。

727年以降、南嶋人の来朝の記録は途絶えますが、これは律令制や大和朝廷の影響力の後退を反映しています。当時、彼らは朝廷によって異民族と見なされ、特に毛人や肥人と同じく、異文化として扱われていました。

文化の背景

南嶋の文化は、地域ごとに異なり、種子島周辺では独自の弥生文化が栄え、そして奄美群島では縄文文化の影響を受けた貝塚文化が発展しました。これらの文化は、後の琉球文化の基盤ともなったと考えられています。特に、奄美群島の城久遺跡は他所からの移住者が作ったものと推測されています。南嶋の人々は、時には朝廷に取り込まれながら、その独自性を保持し続けました。

統治の衰退

朝廷の南島への関心が薄れた原因には、遣唐使の廃止や律令制の崩壊が考えられています。824年には、多褹国が廃止されたという記録も存在し、907年の『円珍伝』には流求（琉球）を「人を食う国」として記載されています。また、997年や996年、1020年には南嶋からの襲撃があったことが報告されています。

南嶋人の影響

南嶋人に関する記録は、段階を追うごとに減少していきましたが、彼らの存在は古代日本における南西諸島の人々との交流や文化の融合を示す重要な要素です。彼らの歴史や文化的背景は、現在の沖縄や奄美の文化にも影響を与えています。これらの地域が古代日本においてどのように位置付けられていたのかを理解することは、歴史的な視点からも非常に重要です。

南嶋人は時代とともにその記録が少なくなりましたが、彼らの影響は地域文化に色濃く残っています。古代日本との関係を振り返ることで、私たちはより深く歴史を知り、文化の多様性を理解することができるでしょう。

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