続日本紀

『続日本紀』について

『続日本紀』（しょくにほんぎ）は、平安時代初期に編纂された公式の歴史書であり、『日本書紀』に続く六国史の一つです。この書物は、文武天皇元年（697年）から桓武天皇の延暦10年（791年）までの約95年間の歴史を扱い、全40巻から構成されています。主な編纂者には菅野真道が含まれており、797年に完成を見ました。

編纂の背景

『続日本紀』の編纂は、前半と後半で異なる背景があります。前半部分は文武天皇元年から孝謙天皇の治世までの30巻が構想されましたが、藤原仲麻呂政権下での政争や混乱の影響で、初期の草案は不十分に終わりました。これを修正するよう命じられた光仁天皇のもとで、石川名足らが作業を引き継ぎましたが、途中で資料を紛失し、最終的には未完成のままになってしまいます。

その後、桓武天皇が新たな編纂を指示し、菅野真道や秋篠安人、中科巨都雄によって全20巻に再構成されました。後半部分は天平宝字2年（758年）から始まる内容で、淳仁天皇から光仁天皇までを扱い、最終的にはさらに延暦10年までを追加して全40巻が完成しました。最終的な完成は797年であり、非常に重要な歴史的文書となりました。

内容と特徴

『続日本紀』は、日本という国家の形成過程を描いた『日本書紀』と異なり、その国家体制が定まりつつある時期の政変や出来事を記録しています。記述は編年体であり、漢文表記で書かれているため、現代の文書とは異なる形式となっています。全体的に簡潔に記述され、重要な事件の要点をつかむことができますが、その一方で詳細が削られてしまっている部分もあります。

この書物は、政治的な配慮が見え隠れする内容を含んでおり、特に桓武天皇治世における重要な事件の記載に影響を与えました。早良親王廃太子の記事は当初記載されていましたが、のちに削除された経緯があり、このことは非常に注目されています。また、藤原広嗣に対する好意的な記事や、宇佐八幡宮に関連する神託事件についても政治的意図が働いたと考えられています。

影響と後世への課題

『続日本紀』は、日本の歴史書としての重要性を持ちながらも、当時の政治的な背景が色濃く影響しているため、完全な史実とみなすべきではないという見方もあります。しかし、その簡潔な記述と特定の事件への焦点化は、後続の史書に大きな影響を与えました。後の記録における養伝（人物伝）の形式も、この書物から多くを受け継いでいます。

蕭、府志、国史など後の文書が『続日本紀』を基にしたため、その信頼性は『日本書紀』よりも高いと評価されています。また、続日本紀には『官曹事類』や『外官事類』と呼ばれる補足文書が付属しており、これも歴史研究において貴重な資料とされています。

このように、『続日本紀』は当時の風俗や政治状況を知るための重要な資料であり、歴史学における基礎的な文献の一つとされています。

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