南市区 (上海市)

南市区の歴史と変遷

南市区（なんし-く）は、上海市を構成する歴史的な市轄区であり、かつてはその中心として重要な地域でした。現在の上海旧市街全域、さらに陸家浜地区や浦東南地区が含まれ、上海の中でも最も古い地域の一つと言えます。南市区の歴史は深く、特に1842年に締結された「南京条約」にその起源が見られます。この条約により、上海が外国に開港されることとなり、イギリス政府が新開川の北岸から蘇州河の南岸にかけて租界を設けました。

この時、上海の住民たちはイギリス租界を北市（現在の黄浦区および静安区）と呼び、その南側を「南市」と呼ぶようになりました。この名称は、要するに地理的な位置関係から生まれたもので、当時の市民生活と国際的な状況を反映しています。

元代の1292年から1933年まで、上海の官庁所在地である上海県の県治がこの地域にありました。これは、南市区が持つ長い歴史の表れでもあり、行政区としての重要性がうかがえます。1927年に設置された瀘南区が南市区の前身となり、戦後の1945年には瀘南区が廃止され、その後邑廟区と蓬萊区に分割されました。しかし、1960年にこれらの二つの区域が再び統合され、南市区が正式に設置されることとなりました。

時が経過する中で、南市区は様々な変遷を辿ります。1993年には、黄浦江の東岸が新しく開発される浦東新区に編入され、さらに2000年には、黄浦江西岸が黄浦区として再編成されることになります。その結果、南市区は正式に廃止されました。

長い歴史の中で、南市区は数多くの文化的、歴史的重要性を持つ地域でした。今日でも、この地域に残る名所や建物は、過去の栄光を物語っており、訪れる人々に深い感銘を与えます。また、独特の風情を残す街並みやマーケットは、上海の歴史と文化を体感できる貴重な場となっています。

南市区が抱える歴史は、上海市自体の歴史とも密接に関連しており、地域の発展を理解する上で欠かせない要素です。これらの歴史的背景を踏まえつつ、現在の上海を知ることで、地域の変化や進化を感じ取ることができるでしょう。

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