南平郡

南平郡は、中国の歴史において、晋代から隋代にかけて存在した地方行政区画です。その領域は、現在の湖北省中南部と湖南省北西部にまたがっていました。

南平郡の成立と変遷

280年（西晋の太康元年）、西晋が呉を滅ぼした際に、南郡の江南地域を分割して南平郡が設置されました。当初、南平郡は荊州に属し、作唐県、孱陵県、南安県、江安県の4県を管轄していました。これにより、江南地域の統治を強化し、新たな行政区分を設けることで、より効率的な支配を目指したと考えられます。

南朝宋の時代にも南平郡は存続し、江安県、孱陵県、作唐県、南安県の4県を引き続き管轄しました。この時期、南平郡は江南地域の重要な拠点としての役割を担っていました。

南朝斉の時代になると、管轄する県に若干の変更があり、孱陵県、作唐県、江安県、安南県の4県を管轄するようになりました。このように、時代によって管轄県が変化することは、その地域の政治・経済状況の変化を反映していると考えられます。

589年（隋の開皇9年）、隋が南朝陳を滅ぼすと、南平郡はその歴史に幕を閉じ、廃止されて松州に編入されました。隋による中国統一が進む中で、地方行政区画の再編が行われ、南平郡もその対象となったのです。

その他の南平郡

歴史上、南平郡という名称は、他の地域でも用いられています。南朝斉の時代には、梁州にも南平郡が設置されました。また、唐の時代には、742年（天宝元年）に渝州が一時的に南平郡と改称されましたが、758年（乾元元年）には再び渝州に戻されました。このように、南平郡という名称は、異なる時代や地域において複数存在したことがわかります。

南平郡は、その存在期間を通じて、江南地域の統治において重要な役割を果たしました。その変遷は、中国の歴史における地方行政制度の変化を示す一例と言えるでしょう。

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