南幸町 (川崎市)

南幸町（みなみさいわいちょう）は、神奈川県川崎市幸区に位置する町です。行政地名としては、南幸町1丁目から南幸町3丁目までが定められていますが、現在、住居表示は実施されていません。

地理的には、幸区の南東部に位置しており、その周囲は複数の町に接しています。具体的には、北西は神明町、北は都町、東は中幸町、南は柳町とそれぞれ隣接しています。また、町の西側は、神奈川県の県境を越えて横浜市鶴見区の矢向と接しています。

町の歴史は、近代の都市開発と深く関連しています。1933年（昭和8年）4月に、当時の南河原地域の一部において耕地整理が行われた際に、現在の南幸町の町域が形成されました。この時、旧来の字名であった甲居村耕地、癸居村耕地、庚大宮耕地、辛荻場耕地、壬荻場耕地といった地域が分離され、新たに南幸町1丁目、2丁目、3丁目として新設され、川崎市の一部となりました。その後、日本の地方自治制度の大きな転換期である1972年（昭和47年）4月1日に川崎市が政令指定都市へ移行した際、区制が導入され、南幸町は新設された幸区の一部として位置づけられることになり、現在に至っています。

交通においては、町域内に東日本旅客鉄道（JR東日本）南武線の尻手駅が設置されており、鉄道を利用した移動の主要な拠点となっています。道路網も充実しており、日本を縦断する主要幹線道路である国道1号（第二京浜国道）や、神奈川県内を結ぶ神奈川県道140号川崎町田線などが町内を通過しており、自動車による地域内外へのアクセスが比較的容易です。

町内には、地域の行政機能や生活を支える主要な施設がいくつか存在します。治安維持を担う幸警察署が置かれているほか、生鮮食品などを扱う川崎幸市場があり、地域の流通拠点として機能しています。また、日々の買い物をサポートする大型商業施設として、サミットストア尻手駅前店なども立地しており、住民の生活利便性を高めています。

住宅地の地価については、近年では比較的安定して推移しています。例えば、2024年（令和6年）7月1日に実施された神奈川県の地価調査によれば、南幸町3丁目にある地点で1平方メートルあたり43万2000円と評価されています。

この他、行政によって把握されている情報としては、国勢調査や経済センサスに基づいた世帯数や人口、事業所数、従業員数に関する統計データが存在します。また、市立小・中学校への通学に関する学区や、警察による管轄区域も定められています。郵便番号は212-0016であり、集配業務は川崎港郵便局が担当しています。

南幸町は、交通の要衝としての機能、行政・商業・流通施設の集積、そして住宅地としての側面を併せ持つ、多様な性格を持った地域です。

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