南方同胞援護会

南方同胞援護会（なんぽうどうほうえんごかい）

南方同胞援護会は、1956年（昭和31年）から1973年（昭和48年）まで存在した日本の特殊法人です。略称は「南援」と呼ばれていました。この組織は、南方同胞援護会法（昭和32年法律第160号）に基づき設立され、当初は財団法人として活動を開始しましたが、翌年には特殊法人へと改組されました。

設立の背景と目的

設立の主な目的は、沖縄および小笠原諸島に関する諸問題の解決を図ることでした。当時、これらの地域は第二次世界大戦後、アメリカ合衆国の施政下に置かれており、日本への返還が大きな課題となっていました。南方同胞援護会は、日本政府に代わって、これらの地域を日本へ復帰させるための活動を担いました。

活動内容

南方同胞援護会は、沖縄および小笠原諸島の住民に対する様々な援護事業を行いました。具体的には、日米間の交渉における根回しや、日本政府に対する提言活動などを通じて、返還運動を推進しました。また、沖縄住民に対しては、生活支援や文化振興など、多岐にわたる支援活動を展開しました。これらの活動は、沖縄の日本復帰運動において重要な役割を果たしました。

1959年（昭和34年）からは、活動範囲を拡大し、北方領土問題にも関与するようになりました。しかし、1970年（昭和45年）には北方領土問題に関する事務は、新たに設立された北方領土問題対策協会へと引き継がれました。

沿革

1956年11月15日：財団法人南方同胞援護会が設立。
1957年4月25日：南方地域返還キャンペーン「抱き取ろう、母国へ沖縄・小笠原」の標語が決定。
1957年9月1日：特殊法人南方同胞援護会に改組。
1959年4月1日：北方領土問題にも事業を展開。
1960年2月28日：北方領土返還キャンペーン「呼び返せ、父祖の千島を、歯舞を」の標語が決定。
1966年3月10日：小笠原返還キャンペーン「国ぐるみ、熱意でかえせ、小笠原」の標語が決定。
1967年3月30日：ドキュメント映画「沖縄―祖国への道」が完成。
1969年9月30日：ドキュメント映画「北方領土―それを拓いた人々」が完成。
1969年10月1日：北方領土問題対策協会発足により、北方領土関係事務を移譲。
1972年5月15日：沖縄返還。
1973年3月31日：当初の目的を達成したとして解散。

事業内容

南方同胞援護会の主な事業内容は以下の通りです。

1. 南方地域（沖縄・小笠原）に関する諸問題についての調査研究
2. 南方地域に関する諸問題についての定期刊行物や印刷物の発行、講演会や講習会の開催、その他必要な啓蒙宣伝活動
3. 南方地域に居住する日本国民に対する援護活動

解散とその後

1972年（昭和47年）の沖縄返還に伴い、南方同胞援護会は解散しました。その事業は、新たに設立された沖縄協会に引き継がれました。

関連事項

沖縄県
アメリカ合衆国による沖縄統治
小笠原諸島
* 北方地域

南方同胞援護会は、沖縄および小笠原諸島の日本復帰という重要な歴史的課題に取り組んだ組織として、その名を歴史に刻んでいます。

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