南極特別委員会

南極特別委員会（南特委）

南極特別委員会（なんきょくとくべついいんかい）は、日本学術会議によって1955年から1973年まで存在した委員会です。この委員会は日本の南極観測隊の計画や運営を担当し、主に国際的な科学研究協力において重要な役割を果たしました。以下にその概要を詳しく説明します。

設立背景

南極特別委員会は、1955年の国際地球観測年特別委員会（CSAGI）の第2回南極会議で日本の参加が要請されたことをきっかけに設立されました。この会議では、地球物理学的な現象の観測が求められ、日本がこの国際的な活動に参加することが決定されました。

同年の10月27日、科学技術行政協議会（STAC）は、文部省内に南極観測実施統合本部を設置することを決定しました。この決定を受けて、日本学術会議は第20回総会において、南極観測に関する様々な課題を検討する目的で南極特別委員会の設置を承認しました。

委員会の活動

南極特別委員会は1955年11月4日に初会合を開き、茅誠司が委員長に選出されました。同月25日の会議では観測隊の隊長に永田武、副隊長に西堀栄三郎が選ばれるなど、正式な体制が整備されていきました。さらに、関係する行政機関の連携を目的とした南極地域観測統合推進本部が設置されましたが、設営の責任が南特委に移り、実質的な運営を担うこととなりました。

また、1957年には国際的な南極研究を推進するために設置された国際南極研究科学委員会（SCAR）への対応として、国内においても南極科学研究を推進する役割を果たしました。このように、日本が南極での研究に対する国際的な協力を行う中で、南特委はその重要なハブとなりました。1958年には第1回SCAR総会に日本の代表を派遣し、国際的な科学コミュニティにおいての地位を確立しました。

任務の変遷

1970年に国立科学博物館の極地研究センターが開設されると、南極特別委員会は観測計画の企画・立案や隊員の選考・推薦に関する役割を同センターに移譲することが決まりました。この決定は1971年の第58回総会で承認され、政府に対して正式に申し入れが行われました。その結果、南特委の任務は、基本方針の策定やSCARへの対応、国内外の学術機関との連絡に焦点を絞ったものとなりました。

1973年10月11日、国立極地研究所の設立に伴い、南極特別委員会は常設の南極研究連絡委員会へと移行しました。この機関は後に1995年に極地研究連絡委員会に改組され、その後は日本学術会議の機関が国際的なSCARに対応する形に適応していきました。

終焉とその後

2005年には日本学術会議の改組により、極地研究連絡委員会は廃止され、以降は日本学術会議地球惑星科学委員会の下でSCARに対応する活動が引き継がれています。南極特別委員会は、日本の南極研究の発展に大きく貢献し、国際的な科学交流の基盤を築いた重要な機関となりました。

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