永田武

永田 武の生涯と業績

永田 武（ながた たけし、1913年6月24日 - 1991年6月3日）は、日本の地球科学者として特に岩石磁気学の分野を確立したことで知られます。彼は南極観測においても重要な役割を果たしました。

来歴・人物

永田は愛知県岡崎市に生まれ、第一東京市立中学、旧制第一高等学校、東京帝国大学を卒業後、東京大学地震研究所を経て東京大学の教授に就任しました。疎開中には挙母町（現・豊田市）にある浄覚寺に滞在し、意外な縁で南極の初探検者である白瀬矗に関わる方々と接点を持つことになります。

1944年、東京大学で理学博士号を取得し、論文の題名は「火山岩、自然残留磁気およびその地球磁気学的諸問題への応用について」です。

戦後、彼は国際地球観測特別委員会の委員長や南極地域観測特別委員会の委員長を歴任し、1955年に日本が南極観測に参加する際の支援体制の整備に尽力しました。1956年から1957年にかけて実施された第1次南極地域観測隊では隊長として、『昭和基地』の建設を指揮しました。この基地は、かつて「接岸不能地区」と見なされたプリンスハラルド海岸の東オングル島に位置しています。

また、彼は現地の状況を考慮し、文部省の指示を覆して、副隊長の西堀栄三郎を中心とした越冬隊を編成しました。これにより、南極観測の重要なリーダーの一人成として、その名が広まりました。永田のリーダーシップは、南極観測に携わる研究者たちに大きな影響を与え、地球物理学やオーロラ研究の分野での日本のスタンスを明確にする重要な礎を築きました。

1951年、彼は「岩石の磁気的性質に関する地球磁気学的研究」で日本学士院賞を獲得。さらに1966年には東レ科学技術賞、1974年には文化勲章を、1987年にはイギリス王立天文学会からゴールドメダルを授与されるなど、数々の栄誉を受けました。1973年には初代国立極地研究所の所長に就任し、1984年までその職務を全うしました。また、1974年からは火山噴火予知連絡会の初代会長にもなるなど、科学研究の発展にも寄与しました。

1991年、永田は生涯を閉じました。

エピソード

南極の大陸には、彼を記念して「永田山」と名付けられた山が存在します。また、彼と共に昭和基地まで行ったオスの三毛猫は、南極観測船『宗谷』内で名付けられる際、永田に因んで「たけし」という名前が付けられました。これは永田の愛嬌ある一面を示すエピソードとして知られています。

著書

永田は多くの著書を残しており、その中には自著や共著、編著があります。代表的な著書には、1948年に発表された『平易な地球物理』や、1949年の『生きている地球：地震と津波の話 下』、さらに南極観測の内容をまとめた『南極観測事始め：白い大陸に科学の光を』などがあります。

彼の業績は、地球科学の進展とともに後世に影響を与え続けており、彼の名は今なお多くの研究者に尊敬され続けています。

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