南海会社

南海会社の歴史と影響

南海会社（なんかいがいしゃ、英: The South Sea Company）は、18世紀初頭のイギリスに設立された、特に交易と金融業務で知られる会社です。その設立は1711年に遡り、当初の目的は南アメリカおよび周辺諸島との貿易を独占することでした。特に、アフリカから奴隷をスペイン領西インドに輸送し、その利益を得ることに焦点が当てられていました。この計画は、当時のトーリー党の指導者であったロバート・ハーレーによって推進されました。

設立とその経緯

南海会社の創設は、イギリスの財政状態が非常に厳しいものであったことによるものでした。政府の歳出は、おおむね債務の返済や軍事費に依存しており、財政危機を打破するために何らかの改革が求められていました。この背景を受け、政府は南海会社を設立し、過剰な債券と証券を強制的に南海会社の株式に転換させることで国庫を支援し、貿易において得られる利益で債務返済を行うという政策に乗り出しました。このような流れは、どの先見の明を持った人物が提案したものなのかは未だ議論の余地がありますが、著名な作家であるダニエル・デフォーの提唱によるものという説も存在しています。

初期の取引と金融業務への転換

南海会社は、1713年のユトレヒト講和条約に基づいて、スペインとの交渉を通じてアフリカとスペイン領西インド間の奴隷貿易の権利を獲得しました。しかし、この貿易事業は思ったほどの成果を上げることができませんでした。その一因として、スペインが許可した貿易量が非常に限られていたことや、1718年に発生した四カ国同盟戦争によって貿易が困難になったことが挙げられます。これに対し、南海会社は試験的に導入した「富くじ債」が成功を収めたため、次第に貿易だけでなく金融事業に重心を移していきました。

南海泡沫事件の発生

1720年、南海会社はその金融事業へのシフトに伴い、「南海泡沫事件」と呼ばれる株価の急騰と暴落を引き起こしました。この事件は、株式交換における詐欺的な手法によって一時的に南海会社の株価が急上昇した結果、急激に崩壊したことが特徴です。この混乱では、多くの人々が「南海成金」として知られる利益を得る一方で、破産による自殺者も増加する悲劇を生み出しました。

南海会社のその後

泡沫事件後、南海会社は北極海での捕鯨事業にも着手しましたが、1732年には利益を上げられずに撤退を余儀なくされました。また、南海会社は七年戦争が終結するまで、スペイン植民地との奴隷貿易を続けましたが、最終的には主な業務は公債販売をはじめとする金融業務であることが明らかになりました。南海会社は1850年代までこの金融業務を続け、歴史の舞台から消えていきました。

まとめ

南海会社は、イギリスの経済や社会に深刻な影響を与えた企業でした。その歴史を通じて、貿易と金融が交錯し、国の成り立ちや財政の在り方をも変える劇的な変化をもたらしました。特に南海泡沫事件は、金融の流動性とリスク管理の重要性を浮き彫りにしました。南海会社の物語は、現在においても多くの教訓を残しています。

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