南海ED5201形電気機関車

南海ED5201形電気機関車

南海ED5201形電気機関車は、南海電気鉄道が貨物輸送のために導入した直流用電気機関車です。1963年に東芝で4両（ED5201 - 5204）が製造されました。丸みを帯びた外観の凸型機関車であり、南海本線の高密度な運行ダイヤの中で貨物列車を運行する必要があったため、高速性能を重視した設計がなされました。

概要

本形式は、製造当初から弱め界磁制御を採用し、定格速度を高めに設定していました。1973年には、南海本線の架線電圧が1500Vに昇圧されたことに伴い、主電動機の交換、歯車比の変更、電動発電機の増設、前照灯のシールドビーム化などの性能向上が図られました。また、牽引力を補うために重連運転が可能な総括制御機能を備えており、実際に重連での運用が多く見られました。

しかし、1984年2月に南海の貨物輸送が廃止されたため、同年7月10日付で全車が廃車となりました。ED5201・5203・5204は解体されましたが、ED5202は三岐鉄道に譲渡され、同社のED301形として第二の人生を歩むことになりました。

三岐鉄道ED301形

三岐鉄道に譲渡されたED5202は、1984年10月にED301形ED301となり、同社で活躍していたED22 2を置き換えました。主に貨車の入換用として使用され、当初は富田駅構内で、後に太平洋セメント藤原工場の入換専用機として活躍しました。検査時には、ED45形が単独で作業を代行することもあります。

ATS（自動列車停止装置）を搭載していないため、本線を走行する機会はほとんどありませんが、イベント時には本線を走行することもあります。

主要諸元

全長：11,000mm
全幅：2,736mm（2,760mm/2009.12. -）
全高：3,950mm
運転整備重量：38.0t
電源方式：直流1500V（架空電車線方式）
軸配置：B-B
台車形式：TT55
主電動機：MT40形（142kW）×4基
歯車比：22:67＝1:3.05
1時間定格出力：568kW
1時間定格引張力：4460kg
1時間定格速度：46.5km/h
動力伝達方式：歯車1段減速、吊り掛け駆動方式
制御方式：抵抗制御・直並列2段組合せ・弱め界磁
制御装置：HU-142形電磁空気単位スイッチ式
ブレーキ方式：EL14B空気ブレーキ、手ブレーキ

南海電気鉄道の貨物輸送を支えたED5201形は、その高い性能と独特な外観で鉄道ファンにも人気のある機関車です。三岐鉄道に譲渡されたED301も、その活躍を続けています。

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