南満洲鉄道附属地

南満洲鉄道附属地について

南満洲鉄道附属地は、20世紀前半に満洲に存在した、南満洲鉄道株式会社が保有する地域であり、その影響だけでなく、行政的な権限も行使されていました。この地域は一般的に「満鉄附属地」とも称されることから、満鉄の重要な拠点の一つであったことが伺えます。特に、ポーツマス条約を契機にロシア帝国の東清鉄道の南満洲支線を引き継ぐ際に、鉄道附属地の制度もそのまま引き継がれたことは、地域の発展に深く関わっていました。

組織と経営

日本政府が南満洲鉄道株式会社設立の際に発した「命令書」には、付帯事業に関する様々な経営活動が求められ、これによって満鉄は附属地内でのインフラの整備を推進することになりました。満鉄は「地方部」を設立し、その下で学校、病院、消防、宿泊施設など多岐にわたる事業を運営しました。これらの地方経営に投入された資金は総額で約2億円に上りました。

満洲国成立後の1937年には、行政権が満洲国に返還されたものの、土地の所有権は満鉄が保持し続けたことから、地域の経済や社会における影響力を維持しました。

公費の負担と管理

満鉄が運営する公共サービスの費用に関しては、様々な項目が公費で賄われていました。具体的には本社や地方事務所の運営費用、病院、中等教育以上の学校、図書館、水道、不動産管理などが満鉄の負担に含まれていました。一方、道路や下水道、初等教育の学校などは住民の負担とされており、その関連で「南満洲鉄道株式会社附属地居住者規約」が制定され、住民は事実上の税金を支払う義務があることが明記されていました。

住民の立場と選挙権

公費には「戸数割」や「雑種割」といった形態があり、内地よりは負担が軽いものの、未納の場合には附属地からの退去を求められる可能性がありました。特に人口が多く富裕な地域は「公費賦課区」として徴収されましたが、逆に人口が少ない地域は「中間区」として免除されることもありました。

また、満鉄は地方事務所を設け、それに伴って「地方委員会」も設置されました。1922年から地方委員は公選となり、選挙権は戸数割を負担する住民に、被選挙権は25歳以上の男性に限定されていました。これにより、戸数割を負担する住民には特に幅広い選挙権が与えられていました。

司法権と警察権

満鉄は国営企業ながらも、自社だけで全ての公権力を保持していたわけではありません。司法権は日本の領事裁判所が行使し、警察権は関東州の警察が担当していました。このようにして、南満洲鉄道附属地は独自の行政を持ちながらも、日本の制度に縛られて運営が行われていたのです。

結論

南満洲鉄道附属地は、その独特の歴史と運営体制により、単なる鉄道の附属地以上の重要な役割を果たしました。地域の発展に寄与しつつも、その権力の行使は日本の方針と密接に関連づけられたものであり、満洲の歴史を考える上でも欠かせない存在であったと言えるでしょう。

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