南米出血熱

南米ウイルス出血熱について

南米ウイルス出血熱とは、南アメリカの特定の地域で発見されるアレナウイルス科に属するウイルスに起因する一連のウイルス性出血熱のことを指します。この疾患は、アルゼンチン出血熱、ボリビア出血熱、ベネズエラ出血熱、ブラジル出血熱など、いくつかの異なる形態が存在し、日本の感染症法においては一類感染症として指定されています。

感染症名と病原体ウイルス

南米地域では、以下のような出血熱を引き起こす病原体ウイルスが特定されています。

• - アルゼンチン出血熱（フニンウイルス）
• - ブラジル出血熱（サビアウイルス）
• - ベネズエラ出血熱（ガナリトウイルス）
• - ボリビア出血熱（マチュポウイルス）
• - チャパレ出血熱（チャパレウイルス）

それぞれのウイルスは、地域特有の動物と関連があり、特に齧歯類の存在が重要な役割を果たしています。

感染経路

これらのウイルスは、主に感染した齧歯類との接触を通じて広がります。具体的には、ネズミの糞尿や唾液を吸い込んだり、汚染された食品を摂取したりすることが感染の原因となります。また、直接的な接触や、患者の体液との接触でも感染が広がる可能性があります。

症状

南米ウイルス出血熱の潜伏期間は通常6日から17日で、発症すると以下のような症状が現れます。

• - 高い熱
• - 筋肉痛
• - 頭痛
• - 眼の奥の痛み（眼窩後痛）
• - 血小板減少症
• - 中枢神経の障害

また、消化器系の症状として、嘔吐や下痢が見られることもあります。発病後は進行が速く、患者は時には死に至ることもあり、致死率は20%を超えるとされています。

治療と予防

治療は主に、ラッサ熱の治療に用いるリバビリンが使用されます。但し、進行の早さから早期の治療が求められます。また、現時点ではワクチンが存在しないため、予防には感染経路を避けることが重要です。

参考文献

• - 谷英樹 他 (2012). “アレナウイルス感染症”. ウイルス 62 (2): 229-238.
• - 東京都感染症情報センター. “南米出血熱”.
• - 横浜市衛生研究所. “アルゼンチン出血熱について”.
• - 厚生労働省検疫所. “南米出血熱”.

関連項目

• - ラッサ熱: アフリカで確認されるアレナウイルス科のウイルスによる感染症です。

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