南邸山内家

南邸山内家

南邸山内家は、土佐山内氏の傍流にあたる武家、士族、そして華族の家系です。江戸時代後期に土佐藩の一門家臣として始まり、明治維新後には士族を経て男爵の爵位を授けられた華族となりました。

歴史

南邸山内家の祖は、江戸時代後期の土佐藩主であった山内豊策の四男、山内豊著です。幕末に土佐藩主となった山内豊信（容堂）は豊著の長男であり、南邸山内家は容堂の弟である山内豊績が継承しました。南邸山内家の禄高は1500石、加えて終身禄として500石が与えられました。

明治維新後、豊績は士族に列せられ、明治11年から明治15年までは海南学校の総宰を務めました。明治22年には、山内豊景侯爵とその保護者である三条実美公爵の連名により、豊績の叙爵請願が提出されました。この請願書には、豊績の幕末維新期における功績と、彼が所有する財産が詳細に記載されていました。それによれば、豊績は公債証書2万円、第三十七国立銀行の株式34株などを所有していたとされています。

同年2月28日付けの爵位局から宮内大臣への伺いによれば、豊績と島津珍彦（重富島津家）の叙爵に関して、旧大名一門士族の叙爵は3つの要件を満たす場合に限るとの方針が示されました。その要件とは、

1. 華族戸主の血族であること
2. 維新前後に功績があったこと
3. 華族の資格を維持するに足る財産を有すること

これらの要件を豊績と珍彦が満たしていると判断され、男爵を授けるべきという結論に至りました。宮内省からの上奏を受けた明治天皇の裁可を経て、同年3月2日、豊績は華族の男爵に叙せられました。

豊績の息子である2代男爵山内豊政は、陸軍軍人としての経歴を持ち、その後、貴族院の男爵議員に選出されてその職務を務めました。彼の代には、南邸山内男爵家の邸宅は東京市大森区田園調布にありました。

歴代当主

山内豊著 - 山内豊策四男
山内豊績 - 男爵
山内豊政 - 男爵、貴族院議員
山内秀夫
山内拓男

参考文献

華族大鑑刊行会『華族大鑑』日本図書センター、1990年
松田敬之『〈華族爵位〉請願人名辞典』吉川弘文館、2015年
森岡浩『日本名門・名家大辞典』東京堂出版、2012年

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