南部信恩

南部信恩（なんぶ のぶおき）は、江戸時代中期の大名であり、陸奥国盛岡藩の第5代藩主として知られています。官位は従五位下・備後守でした。

経歴

延宝6年（1678年）に、第4代藩主・南部行信の三男として江戸の麻布屋敷で生まれました。元禄14年（1701年）に兄の死により父・行信の嫡子となります。同年には五代将軍・徳川綱吉に謁見し、毛利綱元の娘と結婚。従五位下・備後守に叙任されました。元禄15年（1702年）に父の死去に伴い家督を継ぎ、盛岡藩の藩主となります。

元禄16年（1703年）に初めて領地へ入る許可を得ます。儒教に傾倒していた父によって重用されていた儒臣を、先代の遺命として断罪し、儒学偏重の政策を改めました。しかしその年、領内は凶作に見舞われ、江戸では元禄地震が発生。江戸の藩邸は全壊し、藩の財政に大きな打撃を与えました。

宝永4年（1707年）に信恩は30歳で死去しました。異母弟である南部利幹が養子となり、家督を相続。信恩の死後には実子の利視が生まれ、利幹の養嗣子となっています。

系譜
父：南部行信（1642年 - 1702年）
母：慈恩院 - 岩井与市郎の娘
正室：真寿院 - 毛利綱元の娘、先夫は森長成
側室：浄智院 - 黒沢氏
次男：南部利視（1708年 - 1752年）
側室：齢広院 - 新渡戸氏
女子：永井直期正室
養子：南部利幹（1689年 - 1725年） - 南部行信の四男

信恩の治世は短いものでしたが、藩政の立て直しに尽力したことが窺えます。しかし、天災に見舞われ、その志を十分に果たすことができませんでした。

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