南部大型自動拳銃

南部式大型自動拳銃の概要

南部式大型自動拳銃（通称：南部大拳）は、1902年に日本の南部麒次郎によって開発された自動拳銃で、日本初のこうした武器としての地位を確立しました。この拳銃は、海軍によって「陸式拳銃」と命名され、陸軍でも改良が加えられた後に「十四年式拳銃」として正式に採用されました。これは、近代的な自動拳銃の普及が進んでいた19世紀末の欧州において、早期に自給自足の道を模索した日本の努力を象徴するものでもあります。

歴史

南部麒次郎が自動拳銃の開発を始めたのは、欧州で自動拳銃が誕生し始めた頃でした。開発が成功したのは義和団の乱の直後であり、その後、1904年には東京砲兵工廠での生産が開始され、日露戦争において実際に使用されることになりました。その後、拳銃の更新が検討され、一時は新たな型として陸軍にテストされましたが、予算の都合で採用には至りませんでした。

この拳銃は小口販売され、国外への輸出も行われました。1919年には陸軍内で500挺が京漢線に勤務する従業員に供給される予定が立てられ、また、1920年には制式検討のための試作品が陸軍へ送られました。1925年には中国の軍閥からの弾薬の発注もありましたが、在庫の関係から限られた数しか提供できなかったと記録されています。さらに、陸軍では1938年にも南部式自動拳銃が現役部隊に支給されたとされています。

特徴

南部式自動拳銃は、特にそのデザインにおいて特異な特徴を持っています。誤解されがちですが、米兵が呼んだ「Japanese Luger」という名称は、実際にはモーゼル軍用拳銃のショートリコイル機構を改良したものであり、ルガーP08とは根本的に異なる内部構造を持っています。陸上での戦いにおいて、拳銃は下士官や機甲部隊に配分されましたが、高価で重量があったため上級士官にはあまり好まれませんでした。

バリエーション

南部式自動拳銃は、大型（甲）、大型（乙）、小型の3つのバリエーションに分かれています。大型は8mm南部弾、小型は7mm南部弾を使用し、装弾数は大型が8発、小型が7発です。さらに、ストライカーによる発火機構を持ち、グリップ・セーフティを唯一の安全装置として搭載しています。

南部式大型自動拳銃（甲）はストックを取り付けることができ、より多様な使い方が可能です。この拳銃は、製造元が東京造兵廠や小倉造兵廠、東京瓦斯電気工業などであり、現存数が非常に少ないため、海外のコレクター間では高い人気を誇ります。

また、南部式から派生した十四年式拳銃もあり、設計上の改良が加えられ、陸軍に供給された実績があります。これとは異なるバリエーションとして「北支一九式拳銃」も存在し、これは生産地が中国に移り大量生産を目指したものです。他にも、南部式自動拳銃に軍刀の刀身を取り付けた試作拳銃も存在しており、これは独自のデザイン理念を反映しています。

海外への影響

南部式拳銃のエレガントなデザインは、海外でも評価され、美しいフォルムは他の拳銃デザインにも影響を与えました。実際、ルガー社のデザイナーであるウィリアム・B・ルガーは、太平洋戦争で南部拳銃に魅了され、自身の拳銃にこのデザインを取り入れることになりました。

結論

南部式大型自動拳銃は、単なる武器としてだけでなく、日本の近代的な兵器開発の象徴的存在であり、国内外の軍に多大な影響を与えました。その歴史や発展は、今なお多くの人々の関心を集め続けています。

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