南部沿岸戦線 (南北戦争)

南北戦争における南部沿岸戦線の詳細解説

南北戦争の南部沿岸戦線は、アメリカ南東部の海岸地域、具体的にはサウスカロライナ州、フロリダ州、アラバマ州、ミシシッピ州、ルイジアナ州、そしてテキサス州の沿岸部、およびミシシッピ川の南部（ルイジアナ州ポートハドソンから南）を舞台とした、陸軍と海軍による大規模な軍事作戦の領域です。内陸部での作戦は、ミシシッピ川の東側が西部戦線に、西側がミシシッピ川流域戦線に含まれます。また、ウィリアム・シャーマン将軍の「海への進軍」が到達したジョージア州海岸での作戦は西部戦線に分類されます。

アメリカ合衆国国立公園局は、これらの戦闘を「低地海岸戦線」と「湾（メキシコ湾）接近作戦行動」というより詳細な区分で分類していますが、本稿ではより大きな括りで捉えます。国立公園局が分類した31の戦闘に、1861年のポートロイヤル遠征を加えて解説します。

南部沿岸戦線の主要な作戦と戦闘

この戦線における主要な焦点は、北軍による海上封鎖戦略に沿った、主要な海港を巡る戦いでした。特に、サウスカロライナ州チャールストン、ジョージア州サバンナ、ルイジアナ州ニューオーリンズといった重要な港湾都市が激戦地となりました。これらの港が封鎖されるか、それに近い状態になると、作戦はチャールストン占領やミシシッピ川全体の支配へと展開しました。また、フロリダ州では比較的小規模な戦闘が継続的に発生しました。

サムター要塞の戦い

1860年の大統領選挙でエイブラハム・リンカーンが当選すると、サウスカロライナ州は合衆国からの脱退を宣言し、他の6州と共にアメリカ連合国を形成しました。連合国は、チャールストン港のサムター要塞を除く、管轄内の合衆国所有の4つの砦を接収しました。ブキャナン大統領は抗議しましたが、サムター要塞への補給を試みただけで軍事行動は起こしませんでした。リンカーンが大統領に就任すると、脱退は「法的に無効」であると宣言しました。そしてリンカーンは、サムター要塞への補給を決定し、連合国は要塞の降伏を要求しました。1861年4月12日、連合軍は要塞への砲撃を開始し、翌13日に守備隊が降伏しました。これが南北戦争の幕開けとなりました。

メキシコ湾封鎖戦隊の作戦

フロリダ州サンタローザ島にある北軍のピケンズ砦を巡り、1861年10月9日に南軍が奪取を試みましたが、北軍の援軍到着により失敗しました。

ポートロイヤル湾遠征

北軍の南大西洋封鎖戦隊は、チャールストンとサバンナの港を封鎖するために、補給と修理のための拠点が必要となり、ポートロイヤル湾を攻略目標に定めました。1861年11月7日、北軍は湾の入り口を守るウォーカー砦とボーリガード砦を砲撃し、両砦を陥落させました。これにより北軍は補給基地を確保しましたが、そこからチャールストンとサバンナへの陸路進軍は遅々として進みませんでした。

プラスキ砦に対する作戦

ポートロイヤルの次に、北軍はサバンナ港の出口にあるプラスキ砦を目標としました。1862年4月10日に北軍が砲撃を開始し、砦の砲台をほぼ沈黙させ、翌11日に南軍は降伏しました。この陥落により、サバンナ港への水路が閉鎖されました。

ニューオーリンズ占領遠征

西メキシコ湾封鎖戦隊は、連合国最大の都市ニューオーリンズを攻撃目標としました。ミシシッピ川のデルタ地帯にある水路を進む必要があり、その途上にあるジャクソン砦とセントフィリップ砦が障害となりました。1862年4月24日未明、ファラガット提督の指揮下で艦隊が砦間の水路を通過し、南軍艦隊を破りました。4月25日、ファラガットはニューオーリンズ市の前に停泊し、4月28日にはジャクソン砦とセントフィリップ砦が降伏しました。その後、ベンジャミン・バトラー将軍の部隊がニューオーリンズを占領しました。この占領は南北戦争の転換点となりました。その後、ルイジアナ州の州都バトンルージュとナチェズも北軍に占領されました。

チャールストン防衛軍に対する作戦

1862年6月、北軍はチャールストンを陸路から脅かそうとジェイムズ島を占領しようとしましたが、セセッションビルのラムナー砦で南軍の抵抗に遭い撃退されました。北軍はチャールストンを包囲し、鉄道を妨害しようとしましたが、チャールストン港を奪うには至りませんでした。1863年4月7日には、第一次チャールストン港の戦いで北軍の鉄被覆艦が沈没しました。

1863年7月10日には、北軍はワグナー砦を攻撃しましたが撃退され、7月18日の再攻撃でも多数の犠牲を出して失敗しました。その後、北軍はワグナー砦を包囲し、8月17日からはサムター要塞とチャールストン市内への砲撃を開始しました。9月7日にワグナー砦を占領しましたが、9月9日にサムター要塞への上陸を試みたものの撃退されました。チャールストン市は南軍の支配下に残りました。

タンパに対する作戦

1862年6月30日、タンパ湾に侵入した北軍砲艦がタンパ市に降伏を迫りましたが、南軍はこれを拒否し、北軍砲艦は撤退しました。

バトンルージュに対する作戦

1862年5月に北軍はバトンルージュを占領しましたが、南軍は奪還を試み、8月5日にバトンルージュの戦いが起こりました。南軍は一旦北軍を押し込みましたが、北軍は川の砲艦の支援を受けて持ちこたえました。その直後の8月9日には、ファラガット提督の戦隊がドナルドソンヴィルを襲撃しました。

セントジョンズブラフへの遠征

1862年10月1日、北軍はセントジョンズブラフの南軍砲台を攻撃し、10月2日の夜に南軍は砲台を放棄しました。

ラフォーシェ地区の作戦

1862年10月25日、北軍はバイユー・ラフォーシェ地区に到着し、27日にはジョージアランディングの戦いで南軍を個別に排除し、この地区の支配を確立しました。

マカリスター砦に対する攻撃

1863年3月3日、北軍はマカリスター砦へ艦砲射撃を行いましたが、砦は陥落しませんでした。

西ルイジアナの作戦

1863年4月、北軍はポートハドソン攻撃のために西ルイジアナに侵攻しました。ビスランド砦、アイリッシュベンド、バーミリオン・バイユーでの戦闘を経て、ポートハドソンへ進軍しました。

ポートハドソン包囲戦

1863年5月21日、プレインズストアで南軍を破り、ポートハドソンへの最後の撤退路を閉ざしました。5月23日、北軍はポートハドソンを包囲し、27日と6月14日に攻撃を仕掛けましたが、撃退されました。7月4日にビックスバーグが陥落した知らせが届くと、7月9日に南軍は降伏しました。この結果、北軍はミシシッピ川全域の支配を確立しました。

テイラーの西ルイジアナ作戦

1863年6月、南軍は北軍の供給線を脅かし、ポートハドソン包囲軍を撤退させようとしました。ラフォーシェクロッシングの戦い、第二次ドナルドソンビルの戦い、コック・プランテーションの戦いで両軍は激突しました。また、スターリング・プランテーションの戦いでは、南軍が北軍を破りました。

ヒルズバラ川遠征

1863年10月26日、北軍はヒルズバラ川沿岸のブルック砦を砲撃し、タンパで封鎖突破船を捕獲しました。

フロリダ遠征

1864年2月20日、フロリダ州では最大規模の戦闘となったオラスティの戦いで、北軍は甚大な損害を出し撃退されました。8月17日にはゲインズビルの戦いで北軍は再び敗北し、フロリダでの作戦はほとんど行われなくなりました。

セントマークス近辺の作戦

1865年3月6日、北軍はナチュラルブリッジで南軍に阻まれ、タラハシーは占領を免れました。タラハシーはアメリカ連合国に加入した州の州都として唯一占領されなかった都市となりました。

これらの戦いは、南北戦争における重要な局面を形成し、その後の戦局を大きく左右することになりました。

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